各種ワクチンのご案内
予防接種ワクチン
当院で取り扱うワクチンは以下の通りです。
複数回接種の必要なワクチンでは、2回目、3回目の接種時期を守りましょう。
適切な時期に接種をすることで、更なる抗体価を高めることが望め、同時に持続期間も長くなります。2回まで接種を完了し、3回目を接種しないと抗体価は3回目の時期を境に減り始めます。
各ワクチンや症状についての詳細は下記の下に記載しています。
日本生産 ワクチン | 感染経路 | 対象者 | 接種方法 | 有効期限 |
B型肝炎ワクチン 6,600円 17,500円(3回分) 基礎接種回数:3回 接種間隔:初回、4~6週間後、5~6か月後 (3回目は18カ月以内に) 基礎接種後の抗体持続期間の目安:5年以上 ※3回目接種後、1か月以降に抗体検査を行い、有効な抗体価が生成されているかの確認が必要です |
感染者との接触、血液、体液に暴露。母子感染 | 医療従事者。流行地域への長期滞在者 (輸血など医療行為による感染の危険あり) |
不活化ワクチン 4週間隔で2回、6ヶ月後に追加接種1回 |
個人差あり。抗体を獲得しづらい人もあり。 抗体産生が確認されれば追加接種不要 |
肺炎球菌ワクチン ① ニューモバックス(公費助成あり) 8,800円(公費助成対象ではない方) 公費助成の対象年齢の方は、4,500円(自己負担のみ) 効果は5年間 (対象年度川崎市内に住民登録があり、過去に一度も23価肺炎球菌ワクチンを接種したことがない、次の年齢の方 65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳) |
肺炎球菌の吸入や鼻腔への保菌者からの感染 | 肺炎の重症化のリスクが高い人、65歳以上の高齢者や免疫疾患の患者 | 不活化ワクチン 1回接種 |
5年間(2回まで接種可能) |
② プレベナー13(自費) 13,000円 一生に1回の接種で効果持続 詳細は、下記「肺炎球菌ワクチン」の項をご覧ください。 |
1回接種で効果持続 | |||
水痘ワクチン(水ぼうそう) ① 「ビケン」 8,000円 基礎接種回数:1回接種 5年後に2回目接種が必要 |
感染者からの空気感染 | 水痘にかかったことがなく、ワクチンも受けたことがない人 | 生ワクチン 成人免疫低下の場合は 追加接種1回 |
3~11年 |
② 「シングリックス」 22,000円(1回あたり)(予約前金制) 基礎接種回数:2回 |
サブユニットワクチン(生ワクチンではない) | 9年以上~終生免疫 | ||
麻疹ワクチン 4,960円 ※現在、国内入手不可のため、MRワクチンで代替接種となります。 |
感染者からの空気感染 | 麻疹にかかったことがなく、ワクチンも受けたことがない人 | 生ワクチン 成人免疫低下の場合の追加接種1回 |
約20年 |
風疹ワクチン 5,500円 接種回数:1回または2回(4-8週間後) (2回目は12カ月以内に) 抗体価持続期間:20~30年 |
感染者からの飛沫感染 | 風疹にかかったことがなく、ワクチンも受けたことがない人 | 生ワクチン 成人免疫低下の場合の追加接種1回 |
約20年 |
MRワクチン(麻疹、風疹2種混合) 8,000円 接種回数:1回または2回(4-8週間後) (2回目は12カ月以内に) 抗体価持続期間:20~30年 |
感染者からの空気・飛沫感染 | 麻疹、風疹にかかったことがなく、ワクチンも受けたことがない人 | 生ワクチン 成人免疫低下の場合の追加接種1回 |
約20年 |
おたふく(ムンプス)ワクチン 5,000円 接種回数:1回または2回(4-8週間後) (2回目は12カ月以内に) 抗体価持続期間:20~30年 |
感染者からの飛沫感染 | おたふくにかかったことがなく、ワクチンも受けたことがない人 | 生ワクチン 成人免疫低下の場合の追加接種1回 |
約20年 |
A型肝炎ワクチン 9,000円 25,000円(3回分) 基礎接種回数:3回 接種間隔:初回、2~5週間後 (3回目は6~18か月後) |
感染者の便で汚染された飲食物の経口摂取、感染者との接触 | 衛生状態の悪い国や地域への渡航者。 | 不活化ワクチン 2~4週間隔で2回 長期の抗体維持には6~18ヶ月後に追加接種1回 |
2回接種で数年、3回で5年以上 |
破傷風トキソイド 3,500円 基礎接種回数:3回 接種間隔:初回、2~4週間後、6~24か月後 基礎接種後の抗体持続期間の目安:10年 |
野外活動時の創傷、刺傷。(傷口から土が入る場合) | 海外長期滞在者。野外活動、救援活動をする場合 | 不活化ワクチン 3~8週間隔で2回。1年後に追加接種1回。以降10年毎 |
10~20年 |
日本脳炎ワクチン 7,000円 20,000円(3回分) |
日本脳炎ウィルスを持つ蚊の吸血。 | 東南アジアの郊外や農村部への長期滞在者 | 不活化ワクチン1~4週間隔で2回。1年後に追加接種1回 小児期に基礎接種を終了している場合は基本的に追加接種1回 |
4~5年 |
インフルエンザワクチン (10月中旬~3月まで) 料金は年度によって変動 |
感染者からの飛沫感染 | インフルエンザワクチンに対する禁忌がないすべての人 | 不活化ワクチン1年に1回接種 | 約5ヶ月間 |
※税込価格
抗体検査 各種ワクチンの効果を判定
4,000円(1項目あたり)
※破傷風の抗体価測定:16,000円(海外へ外注のため)
ワクチン接種証明書
医療関係者や学生の方で、過去のワクチン履歴の証明や、ワクチン接種により有効な抗体価ができているかを証明するものです。
ワクチン3項目まで5,000円
4項目以上は10,000円
特殊ワクチン及び項目については別途
異なる種類のワクチン接種する場合
令和2年10月より異なる種類のワクチンを接種する場合の接種間隔のルールが変更されましたのでご注意ください各種ワクチンとウイルス感染症
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチンでは、2回目、3回目の接種時期を守りましょう。適切な時期に接種をすることで、更なる抗体価を高めることが望め、同時に持続期間も長くなります。2回まで接種を完了し、3回目を接種しないと抗体価は3回目の時期を境に減り始めます
B型肝炎ワクチンは抗体獲得に個人差があります。
3回接種しても抗体がつかない方もいらっしゃいますので、3回接種後1か月以降に抗体検査をして抗体産生が十分であるか確認することが大切です。
B型肝炎ワクチン ビームゲン(国産)
基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、4週間後、5~6か月後
基礎接種後の抗体持続期間の目安:5年以上
※基礎接種後、1か月以降に抗体検査推奨
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌について
肺炎は日本人の死因の第3位を占めます。
肺炎の死亡者の95%以上が65歳以上の高齢者です。
肺炎の原因菌の中でも頻度が高いのが肺炎球菌です。
肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎の発症を予防し、重症度を抑制することが期待できます(日本呼吸器学会)。
肺炎は早期発見と予防がカギになります。予防として手洗いやうがい、マスクの着用は一般的な感染症の予防に勧められますが、肺炎についても有効です。さらにその他にも有効な肺炎予防として「ワクチン接種」と「誤嚥の予防」が挙げられます。
ニューモバックスとプレベナーの併用(成人に限る)
日本では65歳以上の高齢者に使用できる肺炎球菌ワクチンとしては、
1. ニューモバックス(公費助成あり)
効果のある菌の血清型:23種類
接種対象年齢:2歳以上
ワクチンの種類:ポリサッカライドワクチン
2. プレベナー13(公費助成なし)
効果のある菌の血清型:13種類
接種対象年齢:2か月齢以上6歳未満、65歳以上
ワクチンの種類:コンジュゲートワクチン(結合型ワクチン)
の2種類があります(2019年6月現在)。
肺炎球菌ワクチンの接種方法について、米国では上記2種類の接種を推奨しており、日本では「ニューモバックス」が2014年から定期接種化されるとともに(「プレベナー13」は任意接種)、すべての成人に2種類のワクチンを接種する方法が提示されました(日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会)。
肺炎球菌ワクチンの接種方法は、
1.「ニューモバックス」をすでに接種されている方の場合、1年以上あけて、「プレベナー13」を接種
2.「ニューモバックス」を接種されていない方の場合、「プレベナー13」を接種後、6か月~4年以内に「ニューモバックス」を接種
※2つの肺炎球菌ワクチンを併用することで、より高い肺炎予防効果が得られます。
水痘ワクチン
帯状疱疹予防ワクチンとしての水痘ワクチンは国産ビケンと米国製シングリックスがあります。
まず結論からお話しします。
「帯状疱疹を絶対に予防したい」と考えるなら、「シングリックス®」44,000円(サブユニットワクチン)
「少し心配だけど、そこまでお金はかけたくない」と考えるなら「従来のビケン製帯状疱疹ワクチン」(生ワクチン)
水痘の症状と兆候
成人の場合、子供より重症になる可能性があります。また、大人の水疱瘡は、発疹が現れる1~2日前に発熱や倦怠感、食欲不振、身体の痛みや頭痛などインフルエンザ様の症状がみられます。通常5日目まで新しい発疹が現れ、6日目には大部分がかさぶたに変化します。ほとんどのかさぶたは発症後20日未満で消失します。
水痘の潜伏期間
水痘の潜伏期間は10~21日(多くは14~16日)です。
水痘の伝染期間
発疹が出現する1~2日前から水泡が痂皮化するまでの7~10日程度は体内からウイルスが放出されているため伝染力があります。伝染力は麻疹に次いで強く、家族内感染発症率は90%以上といわれています。
妊婦の水痘感染
妊娠中(特に妊娠20週以前)に水痘にかかると、生まれてくる赤ちゃんの約2%が先天性水痘症候群を発症することがあります。先天性水痘症候群は皮膚瘢痕、発育障害、神経系の異常、眼球の異常、骨格の異常などの症状をきたします。 また出産5日前から出産後2日も妊産婦が水痘を発症した場合、赤ちゃんも重症な水痘を発症しやすくなることが知られていますので、妊娠を希望する女性は妊娠前に水痘ワクチンを接種して免疫をつけることが重要です。
水痘と帯状疱疹
主に子供の時に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、水痘(水疱瘡)を発症します。水痘が治癒した後も体内の水痘・帯状疱疹ウイルスは骨髄から出る神経節に潜んでいます。普段は免疫力によりウイルスの活動を抑えているので発症はしませんが、疲れやストレス、身体の免疫が低下するとウイルスは再び活性化し始めます。ウイルスは神経節から神経を通って皮膚へと移動し、帯状に発疹や痛みがでる帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹は50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人がかかります。
決してまれな疾患ではありません。
帯状疱疹から水痘に感染する可能性
帯状疱疹の患者さんが帯状疱疹として人に感染させることはありません。しかし、過去に水痘にかかったことがない人や水痘予防接種を受けてない人には、水痘(水ぼうそう)としてうつす可能性があります。皮膚の症状が治るまでは、水ぼうそうにかかっていない赤ちゃんや子供、妊婦と接触しないようにしましょう。
ワクチンの効果
1回接種で水ぼうそう(水痘)にかかるのを80-85%減らすことができ、重症化をほぼ100%防ぐことができるとされています1) 。1回の接種では重症化は防げますが、水痘にかかった場合に水痘の集団発生の原因となります。2回接種を行うことで一人一人の予防効果を高めるだけでなく、長期間の集団での流行を予防することができ、免疫不全の人や妊婦など水痘ワクチンを打てない人を守ることにもつながります。
過去に水痘や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などにかかったことがある人は病気が治ってもウイルスが潜伏しており、成人や高齢者になって免疫が低下した時に帯状疱疹を発症する危険性があります。50歳以上に対する帯状疱疹予防として、過去に水痘にかかったことがある人、帯状疱疹にかかったことがある人に水痘ワクチンを接種すると抗体が増え、再感染に有効です。帯状疱疹後神経痛は重症な帯状疱疹になった後に神経の痛みが残る後遺症で、なかなか治りにくいことが知られています。50歳以上で、水痘ワクチンを接種することで帯状疱疹後神経痛の予防として期待されます。
帯状疱疹予防に
13歳以上の健康な人で、水痘の免疫がない場合は、28日以上の間隔をあけて水痘ワクチンの2回の接種をお勧めします。
50歳以上に対する帯状疱疹予防として、過去に水痘にかかったことがある人、帯状疱疹にかかったことがある人に1回の接種をお勧めします。
暴露後接種
水痘ワクチンは、曝露後接種も有効です。
水痘感染者と接触後にワクチンを1回接種すると、72時間以内で発症阻止率は90%。
家族内伝染率は90%以上と高く,重症化も高率のため、家族が発症した場合に、水痘に罹ったことがなくワクチンも打ったことがない家族には速やかにワクチン接種を推奨します。
水痘ワクチンの説明
帯状疱疹ワクチンには、「ビケン製の生ワクチン」と「シングリックス®」の2種類があります。
「ビケン」製の帯状疱疹ワクチンは、弱毒化された生きたウイルスが含まれています(生ワクチン)。小児に使用する水痘ワクチンですが、2016年から帯状疱疹予防として認可されています。
一方、「シングリックス®」は帯状疱疹を予防するために独自に開発されたワクチンで、サブユニットワクチンという種類のものです。ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンで、生ワクチンではありません。
帯状疱疹ワクチン(ビケン)と「シングリックス®」の違い
シングリックスは独自に開発されたため、高価
予防効果は「シングリックス®」のほうが高い
「シングリックス®」は免疫がさがった人にも接種できる(慎重に接種する必要はあるが、禁忌ではない)
費用
費用は次の通りです。(シングリックス®は2回接種)(シングリックス®接種は予約制です)
帯状疱疹ワクチン(ビケン) 8,000円(税込)
シングリックス® 1回 2,2000円(税込)
接種回数:1回または2回(4-8週間後、シングリックスは2ヶ月後)
抗体価持続期間:20~30年
帯状疱疹ワクチンの効果の比較
発症抑制効果 | 疱疹後疼痛抑制効果 | 重症度抑制効果 | 効果持続期間 | |
ビケン | 51.3%減少 | 66.5%減少 | 61.1%減少 | 3~11年 |
シングリックス | 97.2%減少(50歳代) 89.8%減少(70歳代) |
100%(50歳代) 85.5%(70歳代) |
重症化はしないとされています | 10年以上 |
帯状疱疹ワクチンの副反応
「ビケン帯状疱疹ワクチン」(従来からあるワクチン)
ワクチン接種による疼痛や腫れなどの一般的な副反応以外に、水痘ワクチンに特異的な副反応としては接種後1-3週間後に発熱や、2-3%に全身性の水痘様発疹がみられることがあります。
「シングリックス®」
シングリックス®接種後7日間に起こった主な副反応としては注射部位の痛み78% 赤み38% 腫れ26%という結果になっています。
全身性の副反応では筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%、胃腸症状13%です。これは体の中で強い免疫をつくろうとするためといわれており、7日以内に多くの副反応は弱くなっていきます。
麻疹ワクチン
麻疹ワクチンの接種をお勧めする方
日本では、定期予防接種に指定されていますが、それでも毎年発病の報告がされています(東京都感染症発生動向調査より)ので、生後12~24か月のうち出来るだけ早く接種しましょう。
※妊婦さんはこれらの生ワクチンの接種は避けてください。
※麻疹ワクチンの接種後は少なくとも1か月以内には妊娠を避けるように気をつけましょう。(ワクチンのメーカーは、接種後の3か月間は避けるよう勧告しています)
※周囲に感染者が出た場合:3日以内に予防接種を受けると感染を防御、症状を軽くできるとされています。
麻疹(はしか)の感染原因と症状
麻疹の感染経路
麻疹の主な感染経路は空気感染(飛沫核感染)です。 麻疹患者が咳やくしゃみをして、空気中に麻疹ウイルスが放出され、そのウイルスを吸い込むことことで麻疹に感染する可能性があります。ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」もあります。
麻疹の感染力は非常に強く、免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症します。
麻疹発症者1名に対して12~14人の人が感染するとされています。インフルエンザは1~2人と言われていますので、感染力は大変強いことがわかります。
感染しても発症しない不顕性感染はほとんどなく、感染した90%以上の人が発症します。
麻疹を発症した人が周囲に感染させる期間は、発疹が出現する約4日前から発疹が出現した後の約4~5日です。特に感染力が強い時期は発疹が出る前の期間です。
症状
伝染力が強く、発熱、咳、鼻水、めやに、発疹が主な症状です。3、4日間は38℃前後の熱で、一度おさまりかけたと思うとまた39~40℃の高熱と発疹が出てきます。合併症状として気管支炎、肺炎、中耳炎や脳炎があります。
麻疹ワクチン(国産)
接種回数:1回または2回(4-8週間後)
抗体価持続期間:20~30年
初回接種(0.5ml)
麻疹風疹混合ワクチン MR(国産)
麻疹風疹混合ワクチン
接種回数:1回または2回(4-8週間後)
抗体価持続期間:20~30年
初回接種(0.5ml)
麻疹ワクチンについて
麻疹ワクチンは生ワクチンといわれる種類のワクチンです。生ワクチン同士の同日接種や不活化ワクチンとの同時接種も可能です。但し、日本では予防接種実施要領により、生ワクチンを接種すると基本的に27日間は他の生ワクチンを接種できませんので、接種するワクチンの順番に気をつける必要があります。当クリニックで接種される方は、初回来院時にワクチン接種のスケジュールを立ててから接種を開始しますのでご安心ください。
麻疹の血液検査と抗体価
麻疹に対して免疫がどのくらいあるかは血液検査で調べることができます。麻疹の抗体検査は主にNT法とPA法とEIA法の3種類ありますが、現在ではEIA法が推奨されています。但し、医療関係者など、「陽性」=十分な抗体価とは限りませんので注意が必要です。
麻疹抗体検査の結果、抗体がない、あるいは抗体があってもその量が少ない(抗体価が低い)場合は、麻疹ワクチンの予防接種を受けて、麻疹に対して免疫をつける必要があります。
風疹ワクチン
風疹(rubella)とは、発熱、発疹、リンパ節の腫れが特徴的なウイルス性発疹症です。
日本では今でも風疹が流行しています。
妊婦(妊娠20週頃まで(特に妊娠初期)が風疹に感染すると、先天性風疹症候群として知られる先天性欠損症を引き起こす可能性があります。妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできませんので、妊娠前に子どもの頃も含めて2回の予防接種を受け、妊娠中に風疹にかかることを予防しましょう。
風疹に対する特別な治療法風はなく、治療は対症療法が主となります。
風疹は予防接種で予防できます。
風疹の原因と感染
風疹ウイルスに感染した人の咳やくしゃみ・鼻水など風疹ウイルスを含んだ唾液や分泌物が空気中に飛び散り、これを他の人が吸い込んで伝染(飛沫感染)したり、風疹ウイルスが付着した手などから口・鼻に触れて感染(接触感染)します。咳や会話による飛沫の距離は通常1~2メートル程度ですが、勢いのよいくしゃみの場合は10メートル以上の場合もあります。
インフルエンザウイルスと比較すると感染力は強く、1人の感染者から5~7人にうつす強い感染力を有します。
風疹の症状と風疹の発疹
風疹の潜伏期は2~3週間です。
主な症状はリンパ節・発熱・発疹です
リンパ節の腫れ
発疹が出現する1週間前から始まり、数週間持続します。発症時に耳のうしろや首のリンパ節が腫れるのが特徴です。熱が下がっても数週間はリンパの腫れが持続します。
発熱
風邪のような症状や微熱が現れます。その数日後に発疹と共に高熱を伴います。熱は数日続きますが、比較的速やかに下がります。
発疹
淡いピンク発疹が、最初は顔面に出現し、1~2日で首、胴体、手足へと広がり、かゆみを伴うこともあります。発疹は3~5日程度で消失するため、「3日はしか」とも呼ばれています。半数の患者に発疹と同時に発熱をみとめ、3~4日続きます。
風疹ワクチン
接種回数:1回または2回(4-8週間後)
抗体価持続期間:20~30年
初回接種(0.5ml)
麻疹風疹混合ワクチン MR(国産)
麻しん風しん混合ワクチン
接種回数:1回または2回(4-8週間後)
抗体価持続期間:20~30年
初回接種(0.5ml)
風疹ワクチンについて
風疹ワクチンは生ワクチンといわれる種類のワクチンです。生ワクチン同士の同日接種や不活化ワクチンとの同時接種も可能です。但し、日本では予防接種実施要領により、生ワクチンを接種すると基本的に27日間は他のワクチンを接種できませんので、接種するワクチンの順番に気をつける必要があります。当クリニックで接種される方は、初回来院時にワクチン接種のスケジュールを立ててから接種を開始しますのでご安心ください。
ムンプスワクチン
おたふくかぜ(ムンプス)は正式には流行性耳下腺炎(じかせんえん)といいます。
世界中にある病気で、日本でも年間多くの方が感染しています。
おたふく風邪は日本で4~5年毎に流行を繰り返している病気ですが、先進国でおたふくかぜ(ムンプス)ワクチンが定期接種されていないのは日本だけです。
現在、日本ではおたふく風邪(ムンプス)ワクチンは任意接種ですが、幼児期に予防接種又はおたふく風邪にかかったことがない方は予防接種をお勧めします。
幼児期から学童期に感染することが多いのですが、成人になってからも感染することがあります。
感染
おたふく(ムンプス)ウイルスの感染(唾液もしくは接触)によって起こります。
飛まつ感染とは、感染している人のせきやくしゃみ、会話などでウイルスを含んだ飛まつが飛び、周囲にいる人が鼻や口から吸い込んで感染することです。
接触感染とは、感染している人とキスをしたり、ムンプスウイルスが付着した手やドアノブ、手すりなどにふれた手で、口や鼻を触ったりすることなどで感染することです。
感染力は比較的強く、死亡することは稀ですが、 合併症として無菌性髄膜炎の頻度が高い(1~10%)です。
体内にウイルスが侵入すると感染しますので、体の表面にウイルスがついただけでは感染しません。
おたふくかぜ(ムンプス)の症状
潜在期は約2週間です。
熱が出て、片側または両側の耳下腺が腫れます。
その他、頭痛、倦怠感、食欲低下など、風邪と似た症状が現れることもあります。
おたふく風邪(ムンプス)にかかると
おたふくかぜ(ムンプス)にかかるとムンプス難聴という、音を感じる神経が破壊され、片耳(まれに両耳)が聞こえなくなることがあります。
ムンプス難聴になる確率はおたふくかぜにかかった人の約1,000人に1人と言われています。
ムンプス難聴は生涯治らないので、ワクチンによる予防が重要です。
合併症として無菌性髄膜炎や脳炎や睾丸炎や卵巣炎や膵炎があります。
大人になってかかると、難聴だけでなく「耳鳴り」や「めまい」を伴い日常生活に支障をきたすこともあります。
思春期以降におたふくかぜにかかるとでは男性は睾丸炎、女性は卵巣炎を認めることがあります。
A型ワクチン
A型肝炎ワクチン エームゲン(国産)
基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、2~4週間後、6~24か月後
接種対象年齢:1歳以上
基礎接種後の抗体持続期間の目安:約5年以上
抗体のつくめやす-国産A型肝炎ワクチンの場合
予防としての抗体価がつくのは、2回目接種をした約2週間後です。
海外赴任・出張、旅行目的で接種される方は、最低2回接種してから出発しましょう。
3回目を接種しないと?
適切な時期に接種をすることで、更なる抗体価を高めることが望め、同時に持続期間も長くなります。2回まで接種を完了し、3回目を接種しないと抗体価は3回目の時期を境に減り始めます。
破傷風ワクチン
破傷風トキソイドワクチン
基礎接種:3回
接種間隔:初回、3~8週間後、12~18か月後
基礎接種後の抗体持続期間の目安:10年
基礎免疫がない方
1968年以前に生まれた方、および、小児期に破傷風ワクチンを含む3種混合ワクチン(DPT)の定期接種を3回以上受けていない方は3回接種。
基礎免疫がある方
1回の追加接種で10年間有効。
日本脳炎ワクチン
日本脳炎ワクチン エンセバック(国産)またはジェービックV(国産)
基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、1~4週間後、1年後
基礎接種後の抗体持続期間の目安:4~5年
抗体のつくめやす
基礎免疫がない方の場合、2回目を接種した約2週間後から予防に必要な抗体価が得られます。渡航前に最低でも2回の接種が必要です。
狂犬病ワクチン(国産)
2019年7月26日からKMB(旧化血研)がドイツGSK社のラビピュール筋注用を輸入販売開始しておりますが供給量は十分ではなく、当院では取り扱っておりません。国産のワクチンは現在製造中止しております。
狂犬病ワクチン 東京
暴露前接種回数:3回
接種間隔:初回、28日後、6~12か月後
髄膜炎菌髄膜炎ワクチン
髄膜炎菌髄膜炎ワクチン ACWY/MCV4 メナクトラ(国内承認)
※2015年国内承認製剤
基礎接種回数:1回
接種対象年齢:2歳以上55歳以下
基礎接種後の抗体持続期間の目安:5年
ポリオワクチン
ポリオワクチン(不活化ポリオIPV) イモバックスポリオ(国内承認)
国際基準の接種方法は、乳児期の基礎接種を完了している場合、成人してから1回の追加接種を推奨しています。
日本の定期接種ではポリオワクチンを2回接種しますが、流行時の感染予防には不十分であり、 米国・英国・ドイツでは4回、インドは6回接種しています。
販売元:Sanofi Pasteur社
基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、4週間後、6~12か月後
基礎接種後の抗体持続期間の目安:10年