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気管支喘息 それは 不可逆性慢性炎症性気道疾患

目次

成人ぜん息患者医療費助成制度」のご案内
喘息は、吸入ステロイドによる治療を継続しませんと、『リモデリング』により、知らないうちに悪化し二度と元に戻ることはありません。
リモデリングの段階にまで進めない治療の継続的な必要性から、川崎市では、1年以上お住まいの方を対象として、喘息治療継続のための費用助成制度があり、申請すると喘息治療費および検査費用ほかが1割負担と軽減します。
但し、原則として毎月の受診および定期的な検査による呼吸管理が義務付けられています。

喘息治療 たった2分で、あなたの咳の正体がわかる『NO(エヌ・オー)ブレス』導入!!
喘息って何?
ぜんそくの気道
喘息のメカニズム
たった2分であなたの咳の正体がわかる⁉ NOブレス
たった10分であなたの肺を科学する⁉ モストグラフ
見逃しやすい喘息の症状
喘息の重症度
喘息コントロール状態の評価
喘息ステップ治療
当院の喘息長期管理

喘息治療
喘息コントローラーとリリーバー
吸入ステロイド
β₂受容体拮抗薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
漢方薬
減感作療法
喘息自己チェック
喘息治療の未来

喘息って何?

ぜんそくの気道

気管支喘息は、気管支が慢性の炎症により狭窄や過敏状態を引き起こし、発作性の呼吸困難や咳・痰を生じる病気です。
日本では小児の約9~11%、成人の約9~10%、400万人以上の患者さんがいるといわれ、さらに毎年増加しています。発症年齢は、小児では乳児期に、成人では特に中高年からの発症が多くみられます。

正常な気道の断面 ぜんそくの患者さんの気道の断面

喘息とは、古くは気流制限(気道が狭くなり呼吸しにくくなる)が、可逆性(よくなったり、わるくなったり)に起こる、気道平滑筋のスパズム(けいれん性に収縮する)状態と考えられていました。

現在では、気管支喘息とは不可逆性気道の慢性炎症性疾患とされています。

即ち、一旦生じてしまった、気道壁のリモデリング(上皮下基底膜が肥厚する、気道平滑筋が肥大、増殖するなど、気道の形態が変化する)は不可逆的(もとには戻らない)であることが分かってきました。また気管支線毛上皮細胞(痰を外に出す)が消失するため、痰を出しにくくなります。その結果気道がさらに狭くなり、気道内にアレルゲンが残存しやすくなるため炎症を増悪させます。

その背景にはアレルギーが関与していることが多いと考えられています。治療としては、気管支拡張薬で狭くなった気管支を拡げることだけでは不十分で、ベースにある炎症を抑える「抗炎症療法」が最も大切です。

喘息の患者さんでは、症状が無くても気管支の炎症が水面下で続いていることが多く、抗炎症療法を生涯にわたり続ける事が、難治化を予防する点からも大変重要です。

現在の治療では、抗炎症療法の中心となるのは吸入ステロイド薬です。吸入方法を正しく理解することで、安全に効果的に治療を進めることができます。

喘息は原因別に大きく3分類され、わが国で最も多いのは、抗原となるタンパク質(アレルゲン)を吸入することで気管支にアレルギー・免疫反応が生じて発症する『アトピー型気管支喘息』です。
この他に、非アトピー型気管支喘息として運動や特定の薬剤を服用することで喘息が引き起こされることがあり、それぞれ『運動誘発喘息』、『アスピリン喘息』と呼ばれています。

アスピリン喘息

大人の喘息の約10%(30~40代の女性に多い)に認められ、まれに小児でも報告されています。
発作が起きると、大発作・窒息死の可能性があります。
鎮痛解熱剤(痛み止め・熱さまし)の内服や注射で誘発されますが、食品や医薬品の添加物(パラベンなどの防腐剤・食品の黄色などの色素)でも発作を起こします。
慢性副鼻腔炎(ちくのう症)・鼻茸や嗅覚障害を持っている人に多いと言われています。
原因として、アラキドン酸という脂肪酸の代謝経路で、消炎鎮痛剤がシクロオキシゲナーゼという酵素を阻害するために、ロイコトリエンの産生が相対的に高まり、喘息発作が誘発されると考えられています。
注意すべき点は、病院で発作の治療時に点滴で使われるステロイド薬のなかで、コハク酸エステル型の薬により大発作を起こすことがあります。リン酸エステル型の薬は安全と考えられています。

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喘息治療

喘息のメカニズム

喘息のメカニズム

気管支(気道)の炎症を引き起こすのは、様々な炎症性細胞と呼ばれる細胞です。
私たちのからだにアレルギー物質などの異物が入ると、免疫の働きによってさまざまな抗体がつくられますが、肥満細胞の表面にはIgE抗体が結合します。
このIgE抗体の働きによって、ヒスタミンロイコトリエンなどの物質が放出され、気道の収縮や浮腫を引き起こします(※)。
気管支が狭くなるため、空気が通りにくい感じ、特に息が吐きにくい感じを覚えるようになります。
また、気道の粘膜にはさまざまな生理活性物質がつくられ、これにより活性化された細胞はさらに、リンパ球(Th2細胞)・肥満細胞・活性化好酸球・好中球などの炎症細胞を刺激し、サイトカインなど様々な物質が産生されて気道の炎症が続き、やがて気管支の表面を覆う上皮細胞のバリアの一部が破壊されてその下の組織がむき出しになるので、気管支はタバコの煙などの刺激に敏感になり、ちょっとしたことで咳や痰が誘発され、気管支が収縮するようになってゆきます。これを「気道過敏性」と呼び、喘息に特徴的な現象とされています。
つまり、“気管支喘息とは気道の慢性炎症である“ということができます。

リモデリング
こうした炎症は、以前は可逆性、即ち治療で元に戻るものと考えられていましたが、現在では、ある程度炎症が持続してしまうと粘膜が厚くなり、元に戻らなくなることがわかりました。こうした気道組織の不可逆性の構造変化をリモデリングと呼びます。リモデリングを起こしてしまった気管支では、慢性的に空気の通過制限が生じているために、治療の効果が不十分になり、日常生活にも支障をきたしやすくなってしまいます。つまり、気管支喘息の治療では、炎症をきっちりと抑えて、リモデリングの段階にまで進めないことが非常に大切になります。
このような病態解明の進歩により、現在、喘息治療の主体は、発作時の治療から、「発作を起こさないようにコントロールする」さらには「症状がなくとも、コントロールされた状態を維持する」非発作時の治療に大きく変わっています。

(※)IgE抗体は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの原因ともなります。ぜんそくと、アトピー性皮膚炎や花粉症などを併発する人が多いのは、このためです。
喘息患者さんの67.3%(およそ10人中7人)に鼻炎があると報告されています。

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喘息治療

NO(エヌ・オー)ブレス 『隠れ喘息』の早期発見のために!!

NO(エヌ・オー)ブレス

気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患であることより、薬物療法の基本は気道炎症の抑制にあります。したがって、本来は「炎症」の程度に基づいて治療を進めるべきですが、今まではその「炎症」を定量的に評価する方法がなかったため、これまでの治療は医師が判断した主観に基づくものでした。しかし病態をよりよく評価できるならば、治療を最適化できる可能性があります。

そこでこの数年、喘息の本態を定量的に評価できる検査法の開発が進んで来ましたが、そのなかで最も注目されているのは、『呼気NO(一酸化窒素)測定』です。

正常な気道の断面 ぜんそくの患者さんの気道の断面

NO(エヌ・オー)ブレスは、気道の炎症状態を数値化する最新の検査です!

呼気中のNO濃度は、気道に好酸球性炎症があると上昇します。これをモニタリングすることで、気道炎症を定量的に評価し、喘息の診断と治療ができるようになりました。 NOは血管拡張、神経伝達、感染防御などに関わる多機能の生理活性分子ですが、喘息治療の研究では1991年にはじめて呼気ガス中でNOが検出され、1994年には喘息患者の呼気中で上昇することが明らかにされてから、新しいバイオマーカーとして注目され、研究が進んできました。

気管支喘息で上昇するNOは主に好酸球性炎症によって『誘導型NO合成酵素(inducible nitric oxide synthase; iNOS)』が発現し、産生が亢進するので、呼気中のNO濃度を測定することにより気道の好酸球性炎症が評価できます。実際に、呼気NO濃度が気道粘膜の好酸球浸潤、気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率と相関することが確認されています。

喘息の中には、『隠れ喘息』といわれる、「咳のない」「喘鳴のない」「息苦しくない」喘息があることが知られるようになりましたが、呼気NOを測定することで、『隠れ喘息』や極早期の喘息までもが発見されるようになりました。 また、呼気NO検査(一酸化窒素検査)は、治療効果の評価の指標になります。 このように、呼気NO測定は、隠れ喘息や咳喘息、それ以外の咳などの鑑別に有用で2013年より保険適応となり、測定時間はわずか2分、3割負担の方で720円で検査が可能となりました。

※花粉症(スギ花粉が原因の場合)の治療法の1つである、舌下免疫療法(標準化スギ花粉エキス)を希望される方、かつ、喘息(ぜんそく)もしくは隠れ喘息(喘息の疑い)のある方は、 アナフィラキシーショック等のリスク・副作用の関係から、舌下免疫療法の治療を受けることができないので、呼気NO測定はその評価鑑別に有用です。

患者状況 呼気NO基準値
現在の喫煙 鼻炎
なし なし 22ppb
あり なし 18ppb
なし あり 28ppb
あり あり 22ppb

当院では、吸入ステロイド未治療の方で呼気NO値が37以上で確定喘息22以上で喘息疑い12~22までを咳喘息11以下はアトピー咳やその他のアレルギー性の疾患による咳を疑い、それぞれに最適な治療を行います。
また、吸入ステロイド等による喘息の治療効果は、概ね10未満を目標として評価します。

総合呼吸抵抗測定装置モストグラフ たった10分で咳をあなたの咳を科学する

『かくれ喘息』の早期発見に!

モストグラフ
モストグラフ
マウスピースをくわえて、普通に呼吸をするだけ!

検査方法は、マウスピースを口にくわえ、普通に呼吸をするだけ!
モストグラフは、普通に呼吸をしたまま気道の状態を調べる新しい検査方法です。
気管支がどれほど狭くなっているか、あるいは気道に炎症があることで気管支の壁が厚くなっているかを、コンピューター処理により3Dグラフで判定することが可能です。
喘息の方は気道が狭くなって息を吐き出しにくくなっていますが、モストグラフでどの程度吐き出しにくくなっているかを、「気道抵抗」(空気の通りにくさ)という数値で調べることができます。結果は色分けされ正常ならば緑抵抗が強くなるにつれてと異常がわかりやすく表示されます。

モストグラフは、気管支喘息の診断、また治療効果の確認、さらには慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断にも有用です。
気管支喘息では、呼吸抵抗は高いものの、周波数や呼吸周期への依存はあまり見られません
咳がある場合など、その咳が喘息かどうかを判断することが可能です。
また、現在の喘息治療の効果を判定判断することが出来ますので、喘息管理にとても役に立つ検査です。
一方、COPDでは抵抗は高く、周波数依存や呼吸周期依存が見られます。
この検査が使えるようになって、これまで肺機能検査をすることが出来なかった小児や息を吐ききることができない重症喘息や高齢者、また6~7歳以下の小児まで咳、喘息の治療と管理がとてもやりやすくなりました。
※モストグラフの詳しい説明は「モストグラフのより詳しい理解のために」をご覧ください。

健常者:周波数を変えても、呼吸抵抗値はあまり変化しません。

健常者
健常者

喘息:周波数に無関係に呼吸抵抗が高くなります。

喘息
喘息:呼吸抵抗は高いが、周波数依存性は認めません

喘息では、下記の慢性閉塞性肺疾患(COPD)と異なり、周波数を変化させても赤く表示される呼吸抵抗は一定の高さを示します。
しかし、重症になるほど、周波数依存性も顕著になることが知られています。
NOブレスとの総合判断が有用です。

喘息治療の効果判定:ご自分では安定していると感じていても、密かに進行する喘息の発見に有用です

① 咳や息苦しさなどの自覚症状が無い『隠れ喘息』の早期発見に有用です。

潜在喘息
潜在喘息:ステロイド吸入により、気道抵抗が改善

② ご自分では全く問題がないと感じていても、じつは喘息が進行して元に戻らなくなってしまう「リモデリング」の発見にも役立ちます。

喘息は治ったと感じている方も、この検査を実施して、抵抗が上がっていた場合には、潜在的な気道の病変がまだ十にはコントロールされていないことを示唆しており、治療を継続する必要性をグラフで確認することができます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD):周波数を低くするほど呼吸抵抗が高くなります

COPD
COPD:周波数を上げると呼吸抵抗が高くなります

右図では、左から右に周波数が高くして検査をしています。
このように慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、周波数を低いほど呼吸抵抗が高くなります
モストグラフでは複数の周波数成分からなるパルス波、または雑音波を用いることで、普通に呼吸をして頂いている間に、リアルタイムで測定することができます。
換気の不均等や上気道の柔軟性などが、周波数依存性を起すことが知られています。

モストグラフの利点とは

従来の呼吸機能検査(スパイロメトリーなど)は、強く息を吹き替えたり、指定された呼吸状態を続けないと検査結果が正しく表示できない場合があり、重症な方ほど正しく検査ができない欠点がありました。
しかし、モストグラフは普通に呼吸をして頂くだけで正しく呼吸機能を調べることができますので、重症の方でもお子さまでも、呼吸機能に影響なく検査ができるほかには画期的な利点をもつ優れた検査機器です。
従来であれば大学など高位病院でなければできない検査でしたが、モストグラフが世に出て数年、その評価が安定した今、当院でも導入に踏み切ることにしました。
呼気一酸化窒素検査(NOブレス)を補完することで、より一層正確に喘息であるのか、どうかを評価することが可能となりました。

スパイロメトリー   あなたの肺の状態は?

スパイロメトリー
スパイロメトリー検査

呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べることをスパイロメトリーといいます。換気の機能を調べる基本の検査です。

まず息を思いきり吸い込み、次に力いっぱい吐きます。この時、息を思いっきり吸ったときの肺活量(努力性肺活量)、吐き始めてから吐き終わるまでの時間、吐くスピードを、機械が測定します。
最初の1秒間で吐き出した空気の量を1秒量(FEV1)といい、この値が喘息の重症度の基準となります。喘息の方の場合、肺活量や1秒量は正常値より低くなる場合があります。

フローボリューム曲線

努力性肺活量をグラフにすると図のような曲線が得られ、これをフローボリューム曲線といいます。この図からどのような病気かが分かります。また、力いっぱい息を吐き出したときの息の強さ(速さ)の最大値のことを「ピークフロー(最大呼気流量)」といい、この値が喘息管理に役立ちます。

フローボリューム曲線

喘息の方の場合、症状がある時は、気道がせまくなり、痰がからんでいて息を吐くスピードが遅くなるため、ピークフローの値は小さくなります。肺活量も小さくなる場合があります。そのため山がへこんだ形になります。

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喘息治療

咳がなくとも喘息です!!! 喘息と気付かないあなたへ

①見逃しやすい喘息の症状

ちょっとした刺激*で咳き込む
*刺激とは :
 ちょっと走る(運動)
 階段、坂道を上がる
 大声で笑う
 ホコリやたばこのけむり
 疲労やストレス
かぜをひきやすい
夜、せき込んで目が覚めてしまう
せき込んで、食べた物を戻してしまう
発作止めの吸入薬(β₂刺激薬)を使う状態になる…

こんな症状はありませんか?
これまでは、喘息と言えば、ゼェーゼェー、ヒューヒューという喘鳴をもって判断していましたが、最新検査である気道過敏性検査薬メタコリン塩化物吸入液の登場や呼気NO検査(呼気一酸化窒素濃度測定、FeNO)により、咳すらない喘息も判明するようになっています。
咳がなくとも喘息です!!!

②主な喘息発作の前ぶれ症状

のどがイガイガする
咳が出る
胸が圧迫される感じがする(息切れがする)
のどがヒューヒュー鳴る
たんが出る
呼吸機能の低下(ピークフロー値の低下)

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喘息治療

喘息の治療 あなたの治療は正しい?

喘息の重症度について

今の状態が重いのか軽いのか?お迷いの方も多いと思いますが、喘息の重症度については、当院では喘息予防・管理ガイドライン(2015年)に基づいて評価しております。

成人喘息の重症度 (喘息予防・管理ガイドライン2015より)
喘息重症度の分類
重症度*1 軽症間欠型 軽症持続型 中等症持続型 重症持続型






頻度 週1回未満 週1回以上だが
毎日ではない
毎日 毎日
強度 症状は軽度で短い 月1回以上
日常生活や睡眠が
妨げられる
週1回以上
日常生活や睡眠
が妨げられる
日常生活に制限
    しばしば増悪 しばしば増悪
症状 月に2回未満 月に2回以上 週1回以上 しばしば
PEF
FEV1*2
%FEV1、
%PEF
80%以上 80%以上 60%以上
80%未満
60%未満
変動 20%未満 20~30% 30%を超える 30%を超える

*1.いずれか1つが認められればその重症度と判断します。
*2.症状からの判断は重症例や長期罹患例で重症度を過小評価される場合があります。
呼吸機能は気道閉塞の程度を客観的に示し、その変動率は気道過敏性と関連します。
%FEV1=(FEV1測定値/FEV1予測値)×100、%PEF=(PEF測定値/PEF予測値または自己最良値)×100

このように喘息の重症度は現在の治療レベルを加味しつつ症状、肺機能から総合的に判定します。なお、重症度は治療経過によって変化しますので、都度重症度の評価を行いつつ適時適切な治療が必要となります。

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喘息治療

喘息治療の目標

段階的治療法について

喘息の治療は、次のような状態を目標に置いています。
(1)建常人と変わらない生活と運動ができる。
(2)正常に近い肺機能を維持する。
(3)夜間や早朝の咳、呼吸困難がなく、睡眠が十分できる。
(4)喘息発作がなく、増悪しない。
(5)喘息で死亡しない。
(6)治療薬によるリスク・副作用がない。
(7)非可逆的な気道リモデリングを防ぐ
喘息治療の目標は、症状や増悪がなく、薬剤のリスク・副作用がなく,呼吸機能を正常なレベルに維持することです。しかし、気道リモデリングの影響により、呼吸機能が正常値までは改善しない場合がありますので、患者さまの自己最高値に基づいて判定することとなります。
コントロールの状態は以下の表に基づき判断し、コントロール良好を目指します。

コントロール状態の評価
  コントロール良好
(すべての項目が該当)
コントロール不十分
(いずれかの項目が該当)
コントロール不良
喘息症状
(日中および夜間)
なし 週1回以上 コントロール不十分の
項目が3つ以上
当てはまる
発作治療薬の使用 なし 週1回以上
運動を含む活動制限 なし あり
呼吸機能
(FEV1およびPEF)
予測値あるいは
自己最高値の80%以上
予測値あるいは
自己最高値の80%未満
PEFの日(週)内変動 20%未満*1 20%以上
増悪(予定外受診、
救急受診、入院)
なし 年に1回以上 月に1回以上*2

*1.1日2回測定による日内変動の正常上限は8%です。
*2.増悪が月に1回以上あれば他の項目が該当しなくてもコントロール不良と評価します。

  • 「コントロール良好」なら現在の治療の続行あるいは良好な状態が3~6ヵ月持続していればステップダウンを考慮します。
    「コントロール不十分」なら現行の治療ステップを1段階アップします。
    「コントロール不良」なら現行の治療ステップを2段階アップします。
  • 喘息治療をその強度から下記の4つの治療ステップに分けます。
    薬剤治療の目標は最小限の薬剤で最大の効果を得ることです。
    治療開始時に症状、受診時の症状と治療状況を総合して治療ステップを決定します。
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喘息治療

喘息ステップ治療

喘息ステップ治療
ステップ 1 日常長期管理薬:コントローラー
ステップ 2 どれか1つを選択
吸入ステロイド薬(低用量)
ロイコトリエン受容体拮抗薬
ステップ 3 どれか1つを選択
吸入ステロイド薬(低用量)+長時間作用型β₂刺激薬
吸入ステロイド薬(中用量か高用量)
吸入ステロイド薬(低用量)+ロイコトリエン受容体拮抗薬
吸入ステロイド薬(低用量)+テオフィリン除放製剤
ステップ 4 1つ以上を追加
吸入ステロイド薬(中用量か高用量)+長時間作用型β₂刺激薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
テオフィリン除放製剤
ステップ 5 1つか両方を追加
経口ステロイド薬(必要最低限)
抗IgE治療

(GINAガイドライン2006より)

※全ステップで必要に応じて、短時間作用性吸入β₂刺激薬を用いる。
※一項目目が各ステップの第一選択薬。

喘息治療ステップ
  治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4







吸入ステロイド薬
(低用量)
吸入ステロイド薬
(低~中用量)
吸入ステロイド薬
(中~高用量)
吸入ステロイド薬
(高用量)
上記が使用できない場合は以下のいずれかを用いる


LTRA
テオフィリン徐放製剤
※症状が稀なら必要
なし
上記で不十分な場合に以下のいずれか1剤を併用

LABA
(配合剤使用可*5
LTRA
テオフィリン徐放製剤
上記に下記のいずれか1剤、あるいは複数を併用

LABA
(配合剤使用可*5
LTRA
テオフィリン徐放製剤
LAMA*6
上記に下記の複数を併用

LABA
(配合剤使用可)
LTRA
テオフィリン徐放製剤
LAMA*6

抗IgE抗体*2,7
経口ステロイド薬*3,7



LTRA以外の
抗アレルギー薬*1
LTRA以外の
抗アレルギー薬*1
LTRA以外の
抗アレルギー薬*1
LTRA以外の
抗アレルギー薬*1



吸入SABA 吸入SABA*5 吸入SABA*5 吸入SABA

ICS:吸入ステロイド薬、LABA:長時間作用性β₂刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬、
LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬、SABA:短時間作用性β₂刺激薬
*1.抗アレルギー薬には、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬があります。
*2.通年性吸入アレルゲンに対して陽性かつ血清総IgE値が30~1,500IU/mLの場合に適用となります。
*3.経口ステロイド薬は短期間の間欠的投与が原則です。短期間の間欠投与でもコントロールが得られない場合は、必要最小量を維持量とします。
*4.軽度の発作までの対応です。それ以上の発作についてはガイドラインの「急性増悪(発作)への対応(成人)」をご覧ください。
*5.ブデソニド/ホルモテロール配合剤で長期管理を行っている場合には、同剤を発作治療にも用いることができます。長期管理と発作治療を合せて1日8吸入までですが、一時的に1日合計12吸入まで増量可能である。ただし、1日8吸入を超える場合は速やかに受診してください。
*6.チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤。
*7.LABA、LTRAなどをICSに加えてもコントロール不良の場合に用います。

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喘息治療

このように現在治療中の患者さんであれば、上に示したコントロール状態の評価を参考にして、コントロール良好なら現在の治療の続行するか、良好な状態が3~6ヶ月持続していればステップダウンを検討します。

一方、コントロール不十分なら現行の治療を1段階アップし、コントロール不良なら現行の治療ステップを2段階アップします。

当院の喘息長期管理

*治療ステップ3以上の治療にもかかわらずコントロール不良の場合は高位専門病院へご紹介いたします

未治療の患者さんにおいては下に示したような症状を目安にして治療ステップを選択します。すなわち、軽症間欠型の症状であれば治療ステップ1、軽症持続型の症状であれば治療ステップ2、中等症持続型の症状であれば治療ステップ3、重症持続型の症状であれば治療ステップ4となります。

現在治療中の患者さんであれば、上に示したコントロール状態の評価を参考にして、コントロール良好なら現在の治療の続行あるいは良好な状態が3~6ヶ月持続していればステップダウンを考慮します。コントロール不十分なら現行の治療を1段階アップし、コントロール不良なら現行の治療ステップを2段階アップします。

未治療患者の症状と目安となる治療ステップ
  治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4
対象
症状
(軽症間欠型)
相当

・症状が週1回未満

・症状が軽度で短い

・夜間症状は月に
2回未満
(軽症持続型)
相当

・症状が週1回
以上、しかし
毎日ではない

・月1回以上日常生
活や睡眠が妨げ
られる

・夜間症状は月に
2回以上
(中等症持続型)
相当

・症状が毎日ある

・短時間作用性吸入
β₂刺激薬がほぼ
毎日必要

・週1回以上日常生
活や睡眠が妨げ
られる

・夜間症状が週1回
以上
(重症持続型)
相当

・治療下でもしばしば
増悪

・症状が毎日ある

・日常生活が制限
される

・夜間症状がしばしば
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喘息治療

喘息治療

喘息の治療薬 コントローラーリリーバー

喘息(ぜんそく)治療薬にはコントローラー(Controller/ 長期管理薬)リリーバー(Reliever/ 発作治療薬)の2種類があります。

コントローラーとリリーバーの位置づけ
  コントローラー(長期管理薬)
発作を予防するために用いる治療薬。
気道の慢性的な炎症を抑え、気道を長時間拡げる
リリーバー(発作治療薬)
発作をいち早く和らげる治療薬。突然の発作が起こった場合に応急的に使う
抗炎症薬 ■吸入ステロイド薬(ICS)
■ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
■抗アレルギー薬
a. ケミカルメディエーター遊離抑制薬
b. ヒスタミンH1-拮抗薬
c. トロンボキサンA2阻害薬
d. Th2サイトカイン阻害薬
■ステロイド薬(静注)
気管支拡張薬 テオフィリン除放製剤
■長時間作用性β₂刺激薬(LABA)
 (吸入貼付服用)
長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)
短時間作用性β₂刺激薬(錠剤・吸入)
■テオフィリン剤(錠剤静注)

短時間作用性吸入抗コリン薬(SAMA)
経口ステロイド薬

吸入ステロイド薬:喘息治療の第一選択薬

コントローラーとして、喘息治療に最も効果を上げているのが、吸入ステロイド薬です。ごく少量(内服薬の100分の1以下)の成分を口から吸入することで直接気道に作用して炎症を抑えるため、リスク・副作用も少なく、長期の使用ができます。しかし内服薬と違って、正しく吸入できないと十分な効果が得られません!そこで当院を含め喘息治療の専門施設では、単に薬剤を処方するだけではなく、患者さんへの吸入指導に力を入れております。口の中の炎症やのどの痛み、声がれなどのリスク・副作用がみられることもありますが、吸入後にうがいを十分にすることで、それらの症状を未然に防ぐことができます。

吸入ステロイドはなぜ喘息発作に有効なのでしょうか?

『喘息って何???』で解説しておりますが、約10年前から気管支喘息の概念が大きく変わりました。その概念とは、喘息発作は慢性の気道炎症が原因であるということです。今までの喘息の概念は、「気道粘膜は非発作時には健常人と同じで、ハウスダストやダニなどの抗原が気道に達すると急性のアレルギー反応が起こり、気管支平滑筋が収縮することで気道を細くしてしまう」ということでした。発作時の概念はほとんど同じなのですが、“非発作時には健常人と何ら変わりがない”と考えられていた喘息の方の気道には非発作時でも気道には慢性の炎症が存在していることが明らかになってきました。

「ハウスダストやダニ等で生じた一過性炎症が、被爆と感作を繰り返すうちに、やがて原因が除去されても気道炎症を持続する」ようになり、喘息発作が「風邪、冷気、過労、ストレスなどの非特異的刺激で容易に引き起こされる」ようになるのです。

即ち、

気道炎症を抑えない限り発作は再発する。

非発作時も気道は慢性炎症状態である。

そこで、喘息治療の重点はこのように変わったのです。

「発作を止めること」+「ハウスダストやダニなどの原因物質を減らすこと」⇒「非発作時の予防治療」へと。

従来の喘息治療の重点は発作を止めることでしたが、最新の治療概念では「発作を止めるだけの治療は不十分」で、また「抗原との被爆を防ぐだけでは十分な予防効果は得られない」ことが分かっています。

気道の慢性的炎症を抑制しなければ発作は予防できない』のです。

気道の炎症とは、正常の気管支粘膜には存在しない好酸球やリンパ球などの炎症細胞が集積し、様々な物質を放出して気道内腔を覆う上皮を剥離してしまうことです。この状態を続けると、刺激になるものは何でも気道収縮(発作)の原因になってしまうのです。しかし、この気道の炎症状態にステロイドを投与すると、炎症細胞が死に陥り、気道粘膜が修復されます。このようにステロイドは喘息の気道炎症にとって非常に有効です。

逆にβ₂刺激薬のみに頼っていたのでは、一時的に発作を抑えることはできても、根本的な治療とはならず、やがて炎症は慢性化、不可逆化してしまうことは、「喘息って何???」で述べた通りです。

ステロイドは強力な抗炎症作用を有しているのですが、肺という局所に作用する療法であるために必要十分な量を投与することができ、また仮に全身へ吸収されても肝臓で分解・代謝されるのでリスク・副作用は全くといって良いほどないのです。

しかし、気道が細くなっていると十分な効き目が得られません。そこで、当院では、息苦しさなどの自覚症状に関係なく、ステロイドの有効性を増すために基本的にはβ₂刺激薬を配合した『吸入ステロイド配合剤』を主体としています。

さらに、吸入ステロイドを十分吸っていてもたびたび発作を繰り返したり、発作時以外でも咳や息切れなどの症状が改善しない方を見受けますが、これはステロイドが効かないのではありません。気道が安定するまでの間、安静がなかなか保てない事が起因すると考えられます。喘息のステロイド治療においては、気道の炎症が収まるまで、無理をせず極力気道を休めることが何より大切です。

それでも、患者様の中にはきちんとステロイドを吸入しても良くならない!とおっしゃる方がいらっしゃいますが、これも効かないのではなく気道が細くなっているため、吸入ステロイドが気道に到達しないためと思われます。

吸入ステロイド配合剤は効果的!
吸入薬一覧表
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喘息って何?
吸入ステロイド薬/長時間作用性β₂刺激薬配合剤(ICS/LABA配合剤。治療の中心となるお薬です)
吸入薬使用のポイント
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤(ICS/LABA配合剤)

吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β₂刺激薬(LABA)が一緒に配合されている吸入薬です。気道の炎症をおさえる効果と、せまくなっている気道を広げる効果がより少ない薬量で効果的に得られます。

吸入ステロイドは安全です!

ステロイドというとリスク・副作用を心配する方も多いですが、吸入薬なので気道に直接とどき、内服薬と比べて用いる量が非常に少なくてすみ(約1/1,000)、全身へのリスク・副作用はほとんどありません。ただし、吸入後は口の中に残った薬を洗い流すためうがいが必要です。

吸入ステロイドは安全で効果的(DDSシステム)

吸入ステロイドはDDS(drug delivery system)により、薬を直接肺および気道に投与できるため、経口ステロイド薬の1回使用量はミリグラム単位であるのに対して、吸入ステロイド薬の1回量はマイクログラム(1/1000ミリグラム)単位と、非常に少ない量ですみます。
また、消化管や肺から吸収された薬の大部分は、すぐに肝臓で分解されますので、全身への影響はありません。
咳止めを内服するよりリスク・副作用が少ないことより妊婦さんでも吸入ステロイドが主流となっています。


ステロイド吸入薬使用のポイント 矢印使用方法で効果が全然違います

  エアゾルタイプ パウダータイプ
 
フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合
ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合
サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル配合
フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ビランテロールトリフェニル酢酸塩配合
●吸入前に
  容器をよく振ってから自然に息を吐き出す しっかり息を吐き出す
●吸入の仕方
  ゆっくり 吸入 素早く 深く 吸入
  ①10秒息止めが大切
●薬の吐き出し方
  鼻からゆっくり吐き出す
(鼻炎の方にはステロイド点鼻薬としての効果も!)
●吸入回数(開始時)
  1回3吸入

初期大量吸入が
効果的
2回では治りが
遅くなります
1回3吸入

初期大量吸入が
効果的
1回1吸入 1回1吸入
吸入回数は原則増やせません
症状が不安定な方には不向き
1日2回
12時間ごと
1日2回
12時間ごと
追加吸入も可
1日2回
12時間ごと
1日1回
(症状が安定している方向き)
●吸入が終わったら
  ③うがい 薬をのどに残さない
うがい飲水 または お食事 をして薬を洗い流しましょう!(声枯れ・口腔カンジダ症の防止)
舌根部の薬剤除去には タンスクレーパー(舌磨き)が効果的 (パウダータイプの場合)。
●効果発現の時期 (ゆっくりですが確実に効いています)
  効果が出るには5日かかります
開始より2週間ほどで、半減から1/3に軽減します
●吸入回数
  (フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合)
咳が収まるまでは、絶対に回数を減らさないこと!
(悪化の場合は元の回数に戻してください)
(サルメテロールキシナホ酸塩 フルチカゾンプロピオン酸エステル配合、フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ビランテロールトリフェニル酢酸塩配合)
吸入回数は1回1吸入のまま
症状が不安定な方には不向き
症状が収まっていても維持量での吸入が必要です。
悪化した際は、フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合に関しては吸入回数を1回3吸入に戻してください。

治療効果をあげるひと工夫  翌日がうんと楽になります

肩カバーで首・胸・背中を温めて
肩カバーで首・胸・背中を温めて

肩カバー
咳がひどい方、咳喘息や喘息の方は、夜の寝冷えが禁物です。
肩カバーやネックウォーマーで、特に首・胸・背中温めましょう。
特に肩カバーは2千円前後です。
肺を外から温めることができます。
体が冷えないので寝起きも辛くありません。
喘息の方には、夏はエアコンによる冷え、秋口からは防寒対策として是非!

無防備な睡眠中は危険がいっぱい
無防備な睡眠中は危険がいっぱい

夜のマスク
そして、何より効果的な対策が『寝ている時のマスク』です。
① 花粉やダニ・ハウスダストを吸わない

② マスクで暖かく湿潤な空気を吸うことで気道が潤うと、翌日会話などで話し込んでも、気道の乾燥からイガイガしてせき込むことが軽減します。
③ マスクで肺が中から暖まることにより気道も広がり、治療効果が高まります。
加湿器にはマスクほどの効果はありません!
1枚のマスクのほうが遥かに効果的!
是非、お薦めします。
寝冷えや風邪をひくと咳や喘息は確実に悪化します。

肩カバーで肺を外から、マスクで肺を中から温めましょう!

成人ぜん息患者医療費助成制度」のご案内
喘息は、吸入ステロイドによる治療を継続しませんと、『リモデリング』により、知らないうちに悪化し二度と元に戻ることはありません。
リモデリングの段階にまで進めない治療の継続的な必要性から、川崎市では、1年以上お住まいの方を対象として、喘息治療継続のための費用助成制度があり、申請すると喘息治療費および検査費用ほかが1割負担と軽減します。
但し、原則として毎月の受診および定期的な検査による呼吸管理が義務付けられています。

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β₂受容体刺激薬:気管支を広げ呼吸を楽にする

これに頼れば、喘息は確実に悪化します。

発作が起こった場合、狭くなった気管支を拡げる「β₂(受容体)刺激薬」という気管支拡張薬を用いるケースもあります。この薬は呼吸困難による苦痛を取り除く効果はありますが、喘息の原因である炎症を抑える作用はないので使用時には注意が必要です。また、この薬には「長時間作用型のコントローラー」と「短時間作用型のリリーバー」の2種類があります。

喘息の長期管理のガイドラインは、通常は症状の出た時の頓用を推奨しています。
しかし、プロカテロール塩酸塩水和物・サルブタモール硫酸塩などのβ刺激薬はあくまで一時的な気管支拡張作用に頼るだけで、喘息治療効果は望めません。
プロカテロール塩酸塩水和物・サルブタモール硫酸塩などのβ刺激薬のみで、或いはこれを主としている方を今でも見かけますが、それは古い時代の治療です。

長期的な視点から、プロカテロール塩酸塩水和物・サルブタモール硫酸塩だけでは、喘息は悪化します。
主剤の吸入ステロイドを定期使用の上で、β刺激薬は、軽症喘息に短時間作用性の薬剤の頓用(吸入)を、中等症以上には長時間作用性の吸入薬を定期使用します。また発作に対しては短時間作用性の吸入β刺激薬を頓用しますが、1日3~4回までにとどめ、それ以上使用を連日必要とするようなら現治療が適当でないので長期管理薬による治療をステップアップします。吸入β刺激薬は発作の初期に使用すると効果が高いのですが、発作が強くなってからでは吸入が満足にできず吸入回数が増えてリスク・副作用だけが強くなり危険です。

具体的には、喘息発作時に吸入β刺激薬を1~2回吸入、20分後改善しなければ再度1~2回吸入します。これを数回繰り返しても良くならないときは至急ご来院ください。
夜間から早朝の発作が続くような場合、眠前にβ刺激薬の貼付薬(ツロブテロール)を皮膚に貼ると発作を予防することが出来ます。ベータ刺激薬のリスク・副作用には動悸、手の震え、不眠、めまいがありますので、患者が高血圧、心臓病、甲状腺疾患、糖尿病などを合併している場合は注意が必要です。

β刺激薬の貼付薬(ツロブテロール)を初めて、または久しぶりに貼付する場合はテープを2/3程度の大きさに切ってから開始すると、動悸や手の震えが軽減します。
テオフィリン薬も気管支拡張作用のあることが古くから知られていましたが、最近、弱いながら抗炎症作用があることも分かってきました。軽症には頓用で使いますが中等症では長時間効果の続く徐放性テオフィリン薬を使用します。テオフィリン薬の有効血中濃度は8~15μg/mlで、これを超えるとリスク・副作用が出てきます。リスク・副作用は、動悸や不整脈、吐き気と腹痛、不眠や痙攣など多彩ですので血中濃度をしっかりと管理(血中濃度の測定)することが大切です。また、テオフィリンの濃度は、いろいろな因子の影響を受けやすく、心臓病、肝臓病、発熱時やある種の抗生物質や抗潰瘍薬の使用は、テオフィリン濃度を上げるためリスク・副作用の発現に注意が必要です。煙草、抗てんかん薬、抗結核薬は濃度を下げてテオフィリン薬の効果を薄めます。

気管支拡張薬はβ₂刺激薬、テオフィリン薬、抗コリン薬の三つに大別され、短時間作用性のものと長時間作用性のものがあります。

薬剤名 投与
経路
分類 製品名 分類
β₂刺激薬 経口 短時間作用性 イソプレナリン塩酸塩
サルブタモール硫酸塩
テルブタリン硫酸塩
フェノテロール臭化水素酸塩
リリーバー
長時間作用性 プロカテロール塩酸塩水和物
クレンブテロール塩酸塩
ツロブテロール
コントローラー
貼付 長時間作用性 ツロブテロールテープ コントローラー
吸入 短時間作用性 サルブタモール硫酸塩インヘラー
サルブタモール硫酸塩エアゾール
サルブタモール硫酸塩吸入液
プロカテロール塩酸塩水和物吸入液
プロカテロール塩酸塩水和物エアー
プロカテロール塩酸塩水和物キッドエアー
プロカテロール塩酸塩水和物スイングヘラ―
フェノテロール臭化水素酸塩
リリーバー
長時間作用性 サルメテロールキシナホ酸塩
インダカテロールマレイン酸塩
ホルモテロールフマル酸塩水和物(リリーバー
コントローラー
注射 短時間作用性 アドレナリン リリーバー
テオフィリン薬 経口 短時間作用性 アミノフィリン リリーバー
徐放製剤 テオフィリン薬
プロキシフィリン
ジプロフィリン
コントローラー
注射 短時間作用性 ‎アミノフィリン注 リリーバー
抗コリン薬 吸入 短時間作用性 イプラトロピウム臭化物水和物 リリーバー
長時間作用性 チオトロピウム臭化物水和物
アクリジニウム臭化物
ウメクリジニウム臭化物
グリコピロニウム臭化物(リリーバー
コントローラー
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経口ステロイド薬:炎症を抑える効果が高い

経口ステロイド薬は、リリーバーとして重症の喘息や、大きな発作が起こったときに用いられます。炎症を抑える作用が強い分、リスク・副作用のリスクも高いので、吸入ステロイド薬と使い分けることが大切です。

抗アレルギー薬

抗アレルギー薬とは即時型アレルギー反応に関係する化学伝達物質の遊離および作用を調節する薬剤です。
作用の違いによって化学伝達物質遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、トロンボキサン合成阻害薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬とサイトカイン阻害薬があります。
喘息のガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を第一選択薬とし、その他の抗アレルギー薬は補助的に使用することが推奨されています。

ロイコトリエン拮抗薬には、気管支拡張作用に加えリモデリング防止効果もあり、アレルゲン吸入やアスピリンの吸入、運動負荷による喘息反応を抑制します。抗炎症作用も強く、軽症および中等症の喘息に60%近い有効性があり、効果発現は2週間で現れます。高齢者や非アトピー喘息患者にも有効です。主なリスク・副作用は消化器症状で、重篤なものは報告されていません。
プランルカスト水和物、モンテルカストナトリウム。
オノン、キプレス、シングレア

ケミカルメディエーター遊離抑制薬:即時型アレルギー反応における肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑制する薬剤で、軽症または中等症のアトピー型喘息の30~40%に効果があるますが、効果がでるまでに4~6週間の服用期間が必要です。リスク・副作用は重篤なものはありませんが、出血性膀胱炎、ほてり感の出るものがあります。クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、アンレキサノクス、ペミロラストカリウム、イブジラスト。
ヒスタミンH1-拮抗薬:いわゆる抗アレルギー薬を指し、抗ヒスタミン薬とも言われます。抗ヒスタミン作用のみの第1世代よりも、ケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ、第二世代の塩基性抗アレルギー薬が使われます。アトピー型喘息の軽症と中等症型の20~30%の効果があります。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などを合併している方が服用されますとほかのアレルギー症状にも効果が期待できます。リスク・副作用には眠気、口渇などがあります。アゼラスチン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、オキサトミド、エメダスチンフマル酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、メキタジン、ロラタジン、レボセチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩 塩酸プソイドエフェドリンなど。
トロンボキサンA2阻害薬:トロンボキサンA2阻害薬にはトロンボキサンA2の産生を抑えるトロンボキサンA2合成酵素阻害薬とトロンボキサンA2の作用を抑えるトロンボキサンA2受容体拮抗薬の2種類があります。喘息患者の気管支の過敏な状態を改善します。抗炎症作用もありその有効率は40%ぐらいです。咳喘息にも有効な場合があります。リスク・副作用は、肝障害、消化器症状、尿潜血などの出血傾向が見られることがあります。
バイナス、ブロニカ

Th2サイトカイン阻害薬サイトカインと呼ばれる生理活性物質のうち、アレルギー性疾患の発症に関係の深いIL-4とIL-5がリンパ球から産生されるのを抑制します。効果が現れるのには数週間かかります。スプラタストトシル酸塩。

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漢方薬

喘息に対する漢方の治療は、当院では以下のように使い分けています。
発作の急性期:麻黄剤(小青竜湯など)。エフェドリン類を含み気管支拡張作用や鎮咳作用があります。
慢性期:柴胡剤(柴朴湯など)。抗炎症作用があります。
症状別では
アレルギー体質を持ち、体力があり発汗の多い方:麻黄剤のうち麻杏甘石湯五虎湯
体力が中等度で喘鳴と鼻水のある方:小青竜湯が良い適応です。
夜に咳が多く、痰の切れない方:麦門冬湯が効果的です。
体力がなく胃腸が弱い脾虚の方:補剤(補中益気湯小建中湯)を用いて栄養状態を改善し体力を増強します。
一方、慢性期に使う柴朴湯は、下垂体副腎機能の賦活作用があり、ステロイド薬の減量に役立ちます。
高齢者の喘息で腰痛、下半身の脱力や冷えを持つ腎虚の方:八味地黄丸が有効です。
漢方薬服用時の注意点:重症の喘息や発作のひどい時は西洋薬を優先し、漢方薬を使う時は「証」に合った薬を選び、3~4週間続けて効き目を確かめ、効果があるようなら1~2年続けて使い無ければ調合の見直しをします。

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減感作療法(免疫療法)

減感作療法は、免疫療法とも呼ばれていますが、一般的には即時型アレルギーの原因抗原(アレルゲン)を患者に少量ずつ増やして注射し、過敏性を減らすというものです。100年ほど前から始まり、アレルギー性鼻炎や気管支喘息に効果のあることが認められています。
その機序については、
(1)遮断抗体が出来て、アレルゲンとIgE抗体の反応を阻止する
(2)肥満細胞のアレルゲンに対する反応性が低下する
(3)IgE抗体価が減る
(4)サイトカインの産生が減る
などが考えられています。
具体的には、当院ホームページ「減感作療法」をご覧ください。

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喘息日誌で自己管理

喘息で大切なのは、自分の体調を常に把握する(自己管理をする)ことです。
その方法として、「喘息日誌」を毎日つけるのが効果的です。記載する項目は、発作の状況や薬の使用頻度、治療の記録などです。この日誌は、発作が何をきっかけに起こりやすいのかを客観的に把握したり、薬の飲み忘れや飲み過ぎを防ぐといった点で有効です。またかかりつけの医師が、治療方針を決めるための情報としても大変役立ちます。

自分で簡単喘息チェック

喘息歴の長い方は、一見良い状態と見えてもピークフローは予測値の半分ということがあります。これは、肺機能の低い状態に慣れて呼吸困難を感じなくなっているのです。重症化しやすいので適切かつ充分な治療を必要とするケースです。

喘息は、自覚症状だけでは病状がはっきりとわかりません。
家庭でも簡単に呼吸機能をチェックできる「ピークフローメーター」という器具を使うことによって、客観的に病状を把握することができます。ピークフロー値(最大呼気流量)は通常、起床時と就寝時に測定します。自覚症状が現れる前に気道の状態を確認できるため、この測定を毎日続けることで、発作を予測したり、症状の悪化を防ぐことができます。

ピークフロー値の測定方法

1.息を深く吸う
2.マウスピースをくわえる
3.できるだけ勢いよく、ひと吹きでピークフローメーターの中に息を吐き出す
4.1、2、3、を3回行い、最も高い数値を記録します

ピークフローの測定によって、喘息がどれくらいの症状なのか、薬の効果がどれくらいなのか、発作を誘発する原因は何か、などを把握することができて便利です。

自己管理の目安としてピークフローの測定値が予測値あるいは自分の過去の最良値の80%以上かつ一日の変動率が20%以下であればコントロール良好で安心できます。50~80%は要注意で治療の追加が必要ですし、50%未満は緊急事態ですので直ぐ医師に受診する必要があります。
※携帯用ピークフローメーターの機種には、ミニライト、アセス、バイタログラフなどがあります。

心身の健康は、喘息発作を防ぎます

喘息発作を防ぐためには、普段の生活を今一度見直す必要があります。家の中をこまめに掃除してハウスダストを減らし、じゅうたんや布製のソファ、ぬいぐるみなど、ダニの温床になりやすい環境を無くして、アレルゲンを排除することが重要です。
過労やストレスは、喘息の大きな誘因になるので、疲れた時はあまり無理をせず、十分な休養と睡眠をしっかりとることを心がけてください。
アルコールや煙草は、気道の過敏性を高め、炎症を悪化させる原因になるため、極力控えたほうがいいでしょう。
喘息を悪化させないためにも、発作の誘因を避けるのはもちろん、過度のストレスをできるだけ減らし、心身を常に良好な状態に保つことが大切です。

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アレルゲンの除去方法

気管支喘息は遺伝的因子(アトピー素因、気道過敏性など)と環境因子が絡み合って、気道の炎症と過敏性の亢進が生じて発病すると考えられます。環境因子には、アレルゲンとなる特異的環境因子とさまざまな増悪因子(非特異的環境因子:大気汚染物質や喫煙、薬物、ウイルスの呼吸器感染など)に分けられます。この環境因子を除去することが喘息の発病予防にとても大切です。

アレルゲンは、室内と室外アレルゲンに分かれ、室内では家塵ダニ、カビ、ペット、職業アレルゲン、室外では花粉、昆虫アレルゲンが主要アレルゲンですが、喘息の予防は室内の環境対策が重要です。なかでもダニの除去は喘息の発病予防(一次予防)のみならず喘息症状を改善(二次予防)し、慢性化と重症化を防ぎます。生きているダニよりもダニの糞や死骸が細かくなった虫体成分を含む家塵のほうが喘息に悪有害であることが分かっています。そのため殺ダニ剤を使うよりも紙パック集塵袋式の電気掃除機を念入りに使う方に効果があります。 1週間に1回は寝具類を1㎡あたり20秒間かけ吸塵することにより1㎡あたり100匹以下に減らすことができます(普通の掃除機)で十分です)

これ以下のダニ数であれば喘息の発症を減らすことができると言われています。

(1)建築構造の対策: 建築構造の対策:換気をよくする。湿度を抑える。
床下の通気を良くする
(2)室内環境の対策: 換気をよくする。家塵のたまる家具を減らす。湿度を上げる。
加湿器や暖房器は使わない。
じゅうたん類は置かない。
(3)ダニ、カビ対策: 湿度を60%以下にする。
週1回は掃除がけする。
ふとんは週1回、天日に干し、掃除機をかける。
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喘息治療の未来  ステロイドなんか・・・

ステロイドなんか吸入したくない!
ステロイドは危険でリスク・副作用が多いから・・・。

そうおっしゃる方は少なくありません。
でも、そうとばかりは言えません。→ステロイドは安全
約20年前、吸入ステロイドが誕生してから、喘息死は激減しました。
それまでの喘息治療といえば事あるたびに通院して点滴や吸入、入院は当たり前だったのが、吸入ステロイドのおかげで『カウチポテト治療』(ご自宅で簡便に)が可能となりました。

でも、そんな吸入ステロイドも万能とは言えません。
吸入ステロイドで炎症を抑えることは可能となりましたが、厚くなった気道の壁を元に戻す作用は弱いと考えられます。
また、喘息を引き起こす原因は個々人さまざまで、吸入ステロイドだけでは全ての方に対応できないのも事実です。
しかし現時点では、それを上回る安全で簡便な治療薬がないのも事実です。

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分子標的治療薬

そこでその人にとって喘息を引き起こす原因炎症物質が分かっているなら、そのものに有効な生物学的製剤を用い、早い段階から治療を開始する。そうすれば重症化を防ぐことができる可能性もあり、不可逆的な状態に至る前に手を打つことができる・・・。
このような視点から2009年、日本で初めて喘息の分子標的治療薬として生物学的製剤「オマリズマブ」(抗IgEモノクローナル抗体。商品名:オマリズマブ)が登場しました。

喘息を発症すると、体内では「アレルギーを引き起こす抗体」が大量に作られます。この抗体をIgEといいますが、IgEがたくさん作られることによってアレルギー症状が悪化していくことから、逆にこの物質を阻害すればアレルギーを抑制できるというわけです。

これを実現するためには、「IgEを無効化する抗体」を利用します。IgE自体が抗体ですが、「IgE抗体の働きを阻害する抗体」を用いるという意味です。
特定の物質だけを認識して結合する抗体をモノクローナル抗体といいますが、オマリズマブはIgEだけを認識して無効化するため、抗IgEモノクローナル抗体と表現されます。この薬は、アレルギー反応を引き起こす体内のIgE抗体の働きを抑える作用があり、アトピー型喘息で、かつ吸入ステロイドなどを使用しても状態が悪い重症患者が適応となります(大変高価な薬であり、投与に際しては厳格な審査・検討がなされます)。

オマリズマブは、約6割の患者に効果があるといわれます。「たった6割」と思われるかも知れませんが、既存治療薬で効果がない方の6割に有効ですから、その有効率は高いと思われます。

これから数年で生物学的製剤が続々と登場する予定です。オマリズマブはIgE抗体に作用しますが、今夏(2016年)に認可される予定の新薬は「IL-5」(IL:インターロイキン)というサイトカイン(炎症を起こすタンパク)に作用するヒト化抗IL-5抗体メポリズマブで気道に好酸球増多を伴うステロイド依存性の喘息への治療に期待されています。
一方、2型ヘルパーT細胞(Th2)の免疫反応に必要な「IL-4」と「IL-13」の受容体となるIL-4RαやIL-13を標的とするヒト化抗体,IL-5受容体に対するヒト化抗体という別のサイトカインに作用する薬の研究も進んでいるようです。
(余談ですが、この流れはアトピー治療でも期待され、近い将来デュピルマブという、2型ヘルパーT細胞(Th2)の免疫反応に必要なインターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-13(IL-13)の2つのサイトカインを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体製剤が、フランスの製薬会社サノフィとアメリカのバイオ医薬品企業リジェネロン・ファーマシューティカルズにより共同開発・発売されると思われます。)

いずれも「長期管理薬をきちんと使っていても喘息の発作をうまくコントロールできない重症患者」が対象ですが、一般薬にはなりませんが、今後はこのような「個別化治療」が主流となっていくでしょう。

「喘息は、関与している炎症物質(サイトカインなど)が違うため、発症のメカニズムは人それぞれです。それらを抑制する生物学的製剤(各抗体製剤)が登場することで、個々の患者さんに最適の薬を選んで治療を行える時代が来ると思われます。

でも、その治療の要は、やはり「長期管理薬を適切に使用」することです。
決して、サルブタモール硫酸塩やプロカテロール塩酸塩水和物など短時間作用型のβ₂刺激薬のみに頼ってはいけません。
一方、当院で実施している「減感作療法」(減感作療法にリンクお願いします)は、喘息の主因となるダニエキスなどの抗原を少しずつ注射していくことで、体内にIgG抗体を作ります。このIgG抗体は、抗原が体内に入ってきた時に、抗原より先に特異的IgE抗体に結合します。すなわち減感作療法により生み出されるIgG抗体は、抗原とIgEモノクローナル抗体との結合を妨げる事により、喘息を抑制・軽減します。
生物学的製剤の価格が下がり、一般化するにはかなりの年月を要すると思われ、当面は減感作療法が免疫療法の首座にとどまるものと考えています。

多くの病気が過去のものとなったように、優れた治療薬、治療方法が開発され喘息も過去の病気となることを願ってやみません。

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