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気管支喘息 それは 不可逆性慢性炎症性気道疾患

目次

喘息最新治療

喘息の治療薬 コントローラーリリーバー

喘息(ぜんそく)治療薬にはコントローラー(Controller/ 長期管理薬)リリーバー(Reliever/ 発作治療薬)の2種類があります。

コントローラーとリリーバーの位置づけ
  コントローラー(長期管理薬)
発作を予防するために用いる治療薬。
気道の慢性的な炎症を抑え、気道を長時間拡げる
リリーバー(発作治療薬)
発作をいち早く和らげる治療薬。突然の発作が起こった場合に応急的に使う
抗炎症薬 ■吸入ステロイド薬(ICS)
■ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
■抗アレルギー薬
a. ケミカルメディエーター遊離抑制薬
b. ヒスタミンH1-拮抗薬
c. トロンボキサンA2阻害薬
d. Th2サイトカイン阻害薬
■ステロイド薬(静注)
気管支拡張薬 テオフィリン除放製剤
■長時間作用性β₂刺激薬(LABA)
 (吸入貼付服用)
長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)
短時間作用性β₂刺激薬(錠剤・吸入)
■テオフィリン剤(錠剤静注)

短時間作用性吸入抗コリン薬(SAMA)
経口ステロイド薬

吸入ステロイド薬:喘息治療の第一選択薬

コントローラーとして、喘息治療に最も効果を上げているのが、吸入ステロイド薬です。ごく少量(内服薬の100分の1以下)の成分を口から吸入することで直接気道に作用して炎症を抑えるため、副作用も少なく、長期の使用ができます。しかし内服薬と違って、正しく吸入できないと十分な効果が得られません!そこで当院を含め喘息治療の専門施設では、単に薬剤を処方するだけではなく、患者さんへの吸入指導に力を入れております。口の中の炎症やのどの痛み、声がれなどの副作用がみられることもありますが、吸入後にうがいを十分にすることで、それらの症状を未然に防ぐことができます。

吸入ステロイドはなぜ喘息発作に有効なのでしょうか?

『喘息って何???』で解説しておりますが、約10年前から気管支喘息の概念が大きく変わりました。その概念とは、喘息発作は慢性の気道炎症が原因であるということです。今までの喘息の概念は、「気道粘膜は非発作時には健常人と同じで、ハウスダストやダニなどの抗原が気道に達すると急性のアレルギー反応が起こり、気管支平滑筋が収縮することで気道を細くしてしまう」ということでした。発作時の概念はほとんど同じなのですが、“非発作時には健常人と何ら変わりがない”と考えられていた喘息の方の気道には非発作時でも気道には慢性の炎症が存在していることが明らかになってきました。

「ハウスダストやダニ等で生じた一過性炎症が、被爆と感作を繰り返すうちに、やがて原因が除去されても気道炎症を持続する」ようになり、喘息発作が「風邪、冷気、過労、ストレスなどの非特異的刺激で容易に引き起こされる」ようになるのです。

即ち、

気道炎症を抑えない限り発作は再発する。

非発作時も気道は慢性炎症状態である。

そこで、喘息治療の重点はこのように変わったのです。

「発作を止めること」+「ハウスダストやダニなどの原因物質を減らすこと」⇒「非発作時の予防治療」へと。

従来の喘息治療の重点は発作を止めることでしたが、最新の治療概念では「発作を止めるだけの治療は不十分」で、また「抗原との被爆を防ぐだけでは十分な予防効果は得られない」ことが分かっています。

気道の慢性的炎症を抑制しなければ発作は予防できない』のです。

気道の炎症とは、正常の気管支粘膜には存在しない好酸球やリンパ球などの炎症細胞が集積し、様々な物質を放出して気道内腔を覆う上皮を剥離してしまうことです。この状態を続けると、刺激になるものは何でも気道収縮(発作)の原因になってしまうのです。しかし、この気道の炎症状態にステロイドを投与すると、炎症細胞が死に陥り、気道粘膜が修復されます。このようにステロイドは喘息の気道炎症にとって非常に有効です。

逆にβ₂刺激薬のみに頼っていたのでは、一時的に発作を抑えることはできても、根本的な治療とはならず、やがて炎症は慢性化、不可逆化してしまうことは、「喘息って何???」で述べた通りです。

ステロイドは強力な抗炎症作用を有しているのですが、肺という局所に作用する療法であるために必要十分な量を投与することができ、また仮に全身へ吸収されても肝臓で分解・代謝されるので副作用は全くといって良いほどないのです。

しかし、気道が細くなっていると十分な効き目が得られません。そこで、当院では、息苦しさなどの自覚症状に関係なく、ステロイドの有効性を増すために基本的にはβ₂刺激薬を配合した『吸入ステロイド配合剤』を主体としています。

さらに、吸入ステロイドを十分吸っていてもたびたび発作を繰り返したり、発作時以外でも咳や息切れなどの症状が改善しない方を見受けますが、これはステロイドが効かないのではありません。気道が安定するまでの間、安静がなかなか保てない事が起因すると考えられます。喘息のステロイド治療においては、気道の炎症が収まるまで、無理をせず極力気道を休めることが何より大切です。

それでも、患者様の中にはきちんとステロイドを吸入しても良くならない!とおっしゃる方がいらっしゃいますが、これも効かないのではなく気道が細くなっているため、吸入ステロイドが気道に到達しないためと思われます。

吸入ステロイド配合剤は効果的!
吸入薬一覧表
    吸入ステロイド
配合剤
ICS+LABA
吸入ステロイド 長時間作動
性β₂刺激薬
LABA
長時間作動性
吸入抗コリン薬
LAMA




  フルティーフォーム
     
  アドエア
フルタイド
   
    キュバール
   
    オスベスコ
   
        スピリーバ
レスピマット






ディスカス アドエア
フルタイド
セレべント
 
ロタディスク   フルタイド
セレべント
 
タービュ
ヘイラー
シムビコート
パルミコート
   
ツイストヘラー   アズマネックス
   
エリプタ レルベア
     
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喘息って何?
吸入ステロイド薬/長時間作用性β₂刺激薬配合剤(ICS/LABA配合剤。治療の中心となるお薬です)
吸入薬使用のポイント
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤(ICS/LABA配合剤)

吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β₂刺激薬(LABA)が一緒に配合されている吸入薬です。気道の炎症をおさえる効果と、せまくなっている気道を広げる効果がより少ない薬量で効果的に得られます。

吸入ステロイドは安全です!

ステロイドというと副作用を心配する方も多いですが、吸入薬なので気道に直接とどき、内服薬と比べて用いる量が非常に少なくてすみ(約1/1,000)、全身への副作用はほとんどありません。ただし、吸入後は口の中に残った薬を洗い流すためうがいが必要です。

吸入ステロイドは安全で効果的(DDSシステム)

吸入ステロイドはDDS(drug delivery system)により、薬を直接肺および気道に投与できるため、経口ステロイド薬の1回使用量はミリグラム単位であるのに対して、吸入ステロイド薬の1回量はマイクログラム(1/1000ミリグラム)単位と、非常に少ない量ですみます。
また、消化管や肺から吸収された薬の大部分は、すぐに肝臓で分解されますので、全身への影響はありません。
咳止めを内服するより副作用が少ないことより妊婦さんでも吸入ステロイドが主流となっています。


ステロイド吸入薬使用のポイント 矢印使用方法で効果が全然違います

  エアゾルタイプ パウダータイプ
 
フルティーフォーム
シムビコート
アドエア
レルベア
●吸入前に
  容器をよく振ってから自然に息を吐き出す しっかり息を吐き出す
●吸入の仕方
  ゆっくり 吸入 素早く 深く 吸入
  吸入したら深く吸い込むと肺が膨らみますが、そのまま薬を肺に留めたまま 10秒 息を止めて薬を気管支に浸透させるのがコツ!
①10秒息止めが大切
●薬の吐き出し方
  鼻からゆっくり吐き出す
(鼻炎の方にはステロイド点鼻薬としての効果も!)
●吸入回数(開始時)
  ②1回3吸入

初期大量吸入が
効果的
2回では治りが
遅くなります
1回3吸入

初期大量吸入が
効果的
1回1吸入 1回1吸入
吸入回数は原則増やせません
症状が不安定な方には不向き
1日2回
12時間ごと
1日2回
12時間ごと
追加吸入も可
1日2回
12時間ごと
1日1回
(症状が安定している方向き)
●吸入が終わったら
  ③うがい 薬をのどに残さない
うがいが大切!(声枯れ・口腔カンジダ症の防止)
タンスクレーパー(舌磨き)で舌根部の薬を除去。
より完全に薬が残らないようにするには吸入後に飲水・食事効果的!
●効果発現の時期 (ゆっくりですが確実に効いています)
  効果が出るには5日かかります
開始より2週間ほどで、半減から1/3に軽減します
●吸入回数
  (フルティーフォーム・シムビコート)
咳が収まってから1週間後から
徐々に1吸入ずつ減らす
(悪化の場合は元の回数に戻してください)
(アドエア・レルベア)
吸入回数は1回1吸入のまま
症状が不安定な方には不向き
症状が収まっていても維持量での吸入が必要です。
悪化した際は、フルティーフォーム・シムビコートに関しては吸入回数を1回3吸入に戻してください。
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β₂受容体刺激薬:気管支を広げ呼吸を楽にする

これに頼れば、喘息は確実に悪化します。

発作が起こった場合、狭くなった気管支を拡げる「β₂(受容体)刺激薬」という気管支拡張薬を用いるケースもあります。この薬は呼吸困難による苦痛を取り除く効果はありますが、喘息の原因である炎症を抑える作用はないので使用時には注意が必要です。また、この薬には「長時間作用型のコントローラー」と「短時間作用型のリリーバー」の2種類があります。

喘息の長期管理のガイドラインは、通常は症状の出た時の頓用を推奨しています。
しかし、メプチン・サルタノールなどのβ刺激薬はあくまで一時的な気管支拡張作用に頼るだけで、喘息治療効果は望めません。
メプチン・サルタノールなどのβ刺激薬のみで、或いはこれを主としている方を今でも見かけますが、それは古い時代の治療です。

長期的な視点から、メプチン・サルタノールだけでは、喘息は悪化します。
主剤の吸入ステロイドを定期使用の上で、β刺激薬は、軽症喘息に短時間作用性の薬剤の頓用(吸入)を、中等症以上には長時間作用性の吸入薬を定期使用します。また発作に対しては短時間作用性の吸入β刺激薬を頓用しますが、1日3~4回までにとどめ、それ以上使用を連日必要とするようなら現治療が適当でないので長期管理薬による治療をステップアップします。吸入β刺激薬は発作の初期に使用すると効果が高いのですが、発作が強くなってからでは吸入が満足にできず吸入回数が増えて副作用だけが強くなり危険です。

具体的には、喘息発作時に吸入β刺激薬を1~2回吸入、20分後改善しなければ再度1~2回吸入します。これを数回繰り返しても良くならないときは至急ご来院ください。
夜間から早朝の発作が続くような場合、眠前にβ刺激薬の貼付薬(ホクナリンテープ)を皮膚に貼ると発作を予防することが出来ます。ベータ刺激薬の副作用には動悸、手の震え、不眠、めまいがありますので、患者が高血圧、心臓病、甲状腺疾患、糖尿病などを合併している場合は注意が必要です。

β刺激薬の貼付薬(ホクナリンテープ)を初めて、または久しぶりに貼付する場合はテープを2/3程度の大きさに切ってから開始すると、動悸や手の震えが軽減します。
テオフィリン薬も気管支拡張作用のあることが古くから知られていましたが、最近、弱いながら抗炎症作用があることも分かってきました。軽症には頓用で使いますが中等症では長時間効果の続く徐放性テオフィリン薬を使用します。テオフィリン薬の有効血中濃度は8~15μg/mlで、これを超えると副作用が出てきます。副作用は、動悸や不整脈、吐き気と腹痛、不眠や痙攣など多彩ですので血中濃度をしっかりと管理(血中濃度の測定)することが大切です。また、テオフィリンの濃度は、いろいろな因子の影響を受けやすく、心臓病、肝臓病、発熱時やある種の抗生物質や抗潰瘍薬の使用は、テオフィリン濃度を上げるため副作用の発現に注意が必要です。煙草、抗てんかん薬、抗結核薬は濃度を下げてテオフィリン薬の効果を薄めます。

気管支拡張薬はβ₂刺激薬、テオフィリン薬、抗コリン薬の三つに大別され、短時間作用性のものと長時間作用性のものがあります。

薬剤名 投与
経路
分類 製品名 分類
β₂刺激薬 経口 短時間作用性 イソパール・P
ベネトリン
ブリカニール
ベロテック
リリーバー
長時間作用性 メプチン
スピロペント
ホクナリン
べラチン
コントローラー
貼付 長時間作用性 ホクナリンテープ コントローラー
吸入 短時間作用性 サルタノール・インヘラー
アイロミール・エアゾール
ベネトリン吸入液
メプチン吸入液
メプチン・エアー
メプチン・キッドエアー
メプチン・スイングヘラ―
ベロテック・エロゾル
リリーバー
長時間作用性 セレベント
オンプレス
オーキシス(リリーバー
コントローラー
注射 短時間作用性 ボスミン リリーバー
テオフィリン薬 経口 短時間作用性 ネオフィリン
アプニション
リリーバー
徐放製剤 テオドール
テオロング
スロービット
テオスロー
ユニフィル
アストモリジン配合錠
アストフィリン配合錠
コントローラー
注射 短時間作用性 ネオフィリン注 リリーバー
抗コリン薬 吸入 短時間作用性 アトロベント
テルシガン
リリーバー
長時間作用性 スピリーバ・レスピマット
エクリア・ジェヌエア
エンクラッセ・エリプタ
シーブリ(リリーバー
コントローラー
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経口ステロイド薬:炎症を抑える効果が高い

経口ステロイド薬は、リリーバーとして重症の喘息や、大きな発作が起こったときに用いられます。炎症を抑える作用が強い分、副作用のリスクも高いので、吸入ステロイド薬と使い分けることが大切です。

抗アレルギー薬

抗アレルギー薬とは即時型アレルギー反応に関係する化学伝達物質の遊離および作用を調節する薬剤です。
作用の違いによって化学伝達物質遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、トロンボキサン合成阻害薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬とサイトカイン阻害薬があります。
喘息のガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を第一選択薬とし、その他の抗アレルギー薬は補助的に使用することが推奨されています。

ロイコトリエン拮抗薬には、気管支拡張作用に加えリモデリング防止効果もあり、アレルゲン吸入やアスピリンの吸入、運動負荷による喘息反応を抑制します。抗炎症作用も強く、軽症および中等症の喘息に60%近い有効性があり、効果発現は2週間で現れます。高齢者や非アトピー喘息患者にも有効です。主な副作用は消化器症状で、重篤なものは報告されていません。
オノン、キプレス、シングレア。
オノン、キプレス、シングレア

ケミカルメディエーター遊離抑制薬:即時型アレルギー反応における肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑制する薬剤で、軽症または中等症のアトピー型喘息の30~40%に効果があるますが、効果がでるまでに4~6週間の服用期間が必要です。副作用は重篤なものはありませんが、出血性膀胱炎、ほてり感の出るものがあります。インタール、リザベン、ソルファ、アレギザール、ケタス。
ヒスタミンH1-拮抗薬:いわゆる抗アレルギー薬を指し、抗ヒスタミン薬とも言われます。抗ヒスタミン作用のみの第1世代よりも、ケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ、第二世代の塩基性抗アレルギー薬が使われます。アトピー型喘息の軽症と中等症型の20~30%の効果があります。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などを合併している方が服用されますとほかのアレルギー症状にも効果が期待できます。副作用には眠気、口渇などがあります。アゼプチン、アレロック、セルテクト、レミカット(ダレン)、ザジデン、アレジオン、エバステル、ジルテック、アレグラ、タリオン、ゼスラン(ニポラジン)、クラリチン、ザイザル、ディレグラなど。
トロンボキサンA2阻害薬:トロンボキサンA2阻害薬にはトロンボキサンA2の産生を抑えるトロンボキサンA2合成酵素阻害薬(ベガとドナメン)とトロンボキサンA2の作用を抑えるトロンボキサンA2受容体拮抗薬(バイアスとブロニカ)の2種類があります。喘息患者の気管支の過敏な状態を改善します。抗炎症作用もありその有効率は40%ぐらいです。咳喘息にも有効な場合があります。副作用は、肝障害、消化器症状、尿潜血などの出血傾向が見られることがあります。
バイナス、ブロニカ

Th2サイトカイン阻害薬サイトカインと呼ばれる生理活性物質のうち、アレルギー性疾患の発症に関係の深いIL-4とIL-5がリンパ球から産生されるのを抑制します。効果が現れるのには数週間かかります。アイピーディー。

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漢方薬

喘息に対する漢方の治療は、当院では以下のように使い分けています。
発作の急性期:麻黄剤(小青竜湯など)。エフェドリン類を含み気管支拡張作用や鎮咳作用があります。
慢性期:柴胡剤(柴朴湯など)。抗炎症作用があります。
症状別では
アレルギー体質を持ち、体力があり発汗の多い方:麻黄剤のうち麻杏甘石湯五虎湯
体力が中等度で喘鳴と鼻水のある方:小青竜湯が良い適応です。
夜に咳が多く、痰の切れない方:麦門冬湯が効果的です。
体力がなく胃腸が弱い脾虚の方:補剤(補中益気湯小建中湯)を用いて栄養状態を改善し体力を増強します。
一方、慢性期に使う柴朴湯は、下垂体副腎機能の賦活作用があり、ステロイド薬の減量に役立ちます。
高齢者の喘息で腰痛、下半身の脱力や冷えを持つ腎虚の方:八味地黄丸が有効です。
漢方薬服用時の注意点:重症の喘息や発作のひどい時は西洋薬を優先し、漢方薬を使う時は「証」に合った薬を選び、3~4週間続けて効き目を確かめ、効果があるようなら1~2年続けて使い無ければ調合の見直しをします。

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減感作療法(免疫療法)

減感作療法は、免疫療法とも呼ばれていますが、一般的には即時型アレルギーの原因抗原(アレルゲン)を患者に少量ずつ増やして注射し、過敏性を減らすというものです。100年ほど前から始まり、アレルギー性鼻炎や気管支喘息に効果のあることが認められています。
その機序については、
(1)遮断抗体が出来て、アレルゲンとIgE抗体の反応を阻止する
(2)肥満細胞のアレルゲンに対する反応性が低下する
(3)IgE抗体価が減る
(4)サイトカインの産生が減る
などが考えられています。
具体的には、当院ホームページ「減感作療法」をご覧ください。

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喘息日誌で自己管理

喘息で大切なのは、自分の体調を常に把握する(自己管理をする)ことです。
その方法として、「喘息日誌」を毎日つけるのが効果的です。記載する項目は、発作の状況や薬の使用頻度、治療の記録などです。この日誌は、発作が何をきっかけに起こりやすいのかを客観的に把握したり、薬の飲み忘れや飲み過ぎを防ぐといった点で有効です。またかかりつけの医師が、治療方針を決めるための情報としても大変役立ちます。

自分で簡単喘息チェック

喘息歴の長い方は、一見良い状態と見えてもピークフローは予測値の半分ということがあります。これは、肺機能の低い状態に慣れて呼吸困難を感じなくなっているのです。重症化しやすいので適切かつ充分な治療を必要とするケースです。

喘息は、自覚症状だけでは病状がはっきりとわかりません。
家庭でも簡単に呼吸機能をチェックできる「ピークフローメーター」という器具を使うことによって、客観的に病状を把握することができます。ピークフロー値(最大呼気流量)は通常、起床時と就寝時に測定します。自覚症状が現れる前に気道の状態を確認できるため、この測定を毎日続けることで、発作を予測したり、症状の悪化を防ぐことができます。

ピークフロー値の測定方法

1.息を深く吸う
2.マウスピースをくわえる
3.できるだけ勢いよく、ひと吹きでピークフローメーターの中に息を吐き出す
4.1、2、3、を3回行い、最も高い数値を記録します

ピークフローの測定によって、喘息がどれくらいの症状なのか、薬の効果がどれくらいなのか、発作を誘発する原因は何か、などを把握することができて便利です。

自己管理の目安としてピークフローの測定値が予測値あるいは自分の過去の最良値の80%以上かつ一日の変動率が20%以下であればコントロール良好で安心できます。50~80%は要注意で治療の追加が必要ですし、50%未満は緊急事態ですので直ぐ医師に受診する必要があります。
※携帯用ピークフローメーターの機種には、ミニライト、アセス、バイタログラフなどがあります。

心身の健康は、喘息発作を防ぎます

喘息発作を防ぐためには、普段の生活を今一度見直す必要があります。家の中をこまめに掃除してハウスダストを減らし、じゅうたんや布製のソファ、ぬいぐるみなど、ダニの温床になりやすい環境を無くして、アレルゲンを排除することが重要です。
過労やストレスは、喘息の大きな誘因になるので、疲れた時はあまり無理をせず、十分な休養と睡眠をしっかりとることを心がけてください。
アルコールや煙草は、気道の過敏性を高め、炎症を悪化させる原因になるため、極力控えたほうがいいでしょう。
喘息を悪化させないためにも、発作の誘因を避けるのはもちろん、過度のストレスをできるだけ減らし、心身を常に良好な状態に保つことが大切です。

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アレルゲンの除去方法

気管支喘息は遺伝的因子(アトピー素因、気道過敏性など)と環境因子が絡み合って、気道の炎症と過敏性の亢進が生じて発病すると考えられます。環境因子には、アレルゲンとなる特異的環境因子とさまざまな増悪因子(非特異的環境因子:大気汚染物質や喫煙、薬物、ウイルスの呼吸器感染など)に分けられます。この環境因子を除去することが喘息の発病予防にとても大切です。

アレルゲンは、室内と室外アレルゲンに分かれ、室内では家塵ダニ、カビ、ペット、職業アレルゲン、室外では花粉、昆虫アレルゲンが主要アレルゲンですが、喘息の予防は室内の環境対策が重要です。なかでもダニの除去は喘息の発病予防(一次予防)のみならず喘息症状を改善(二次予防)し、慢性化と重症化を防ぎます。生きているダニよりもダニの糞や死骸が細かくなった虫体成分を含む家塵のほうが喘息に悪有害であることが分かっています。そのため殺ダニ剤を使うよりも紙パック集塵袋式の電気掃除機を念入りに使う方に効果があります。 1週間に1回は寝具類を1㎡あたり20秒間かけ吸塵することにより1㎡あたり100匹以下に減らすことができます(普通の掃除機)で十分です)

これ以下のダニ数であれば喘息の発症を減らすことができると言われています。

(1)建築構造の対策: 建築構造の対策:換気をよくする。湿度を抑える。
床下の通気を良くする
(2)室内環境の対策: 換気をよくする。家塵のたまる家具を減らす。湿度を上げる。
加湿器や暖房器は使わない。
じゅうたん類は置かない。
(3)ダニ、カビ対策: 湿度を60%以下にする。
週1回は掃除がけする。
ふとんは週1回、天日に干し、掃除機をかける。
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喘息治療の未来  ステロイドなんか・・・

ステロイドなんか吸入したくない!
ステロイドは危険で副作用が多いから・・・。

そうおっしゃる方は少なくありません。
でも、そうとばかりは言えません。→ステロイドは安全
約20年前、吸入ステロイドが誕生してから、喘息死は激減しました。
それまでの喘息治療といえば事あるたびに通院して点滴や吸入、入院は当たり前だったのが、吸入ステロイドのおかげで『カウチポテト治療』(ご自宅で簡便に)が可能となりました。

でも、そんな吸入ステロイドも万能とは言えません。
吸入ステロイドで炎症を抑えることは可能となりましたが、厚くなった気道の壁を元に戻す作用は弱いと考えられます。
また、喘息を引き起こす原因は個々人さまざまで、吸入ステロイドだけでは全ての方に対応できないのも事実です。
しかし現時点では、それを上回る安全で簡便な治療薬がないのも事実です。

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分子標的治療薬

そこでその人にとって喘息を引き起こす原因炎症物質が分かっているなら、そのものに有効な生物学的製剤を用い、早い段階から治療を開始する。そうすれば重症化を防ぐことができる可能性もあり、不可逆的な状態に至る前に手を打つことができる・・・。
このような視点から2009年、日本で初めて喘息の分子標的治療薬として生物学的製剤「オマリズマブ」(抗IgEモノクローナル抗体。商品名:ゾレア)が登場しました。

喘息を発症すると、体内では「アレルギーを引き起こす抗体」が大量に作られます。この抗体をIgEといいますが、IgEがたくさん作られることによってアレルギー症状が悪化していくことから、逆にこの物質を阻害すればアレルギーを抑制できるというわけです。

これを実現するためには、「IgEを無効化する抗体」を利用します。IgE自体が抗体ですが、「IgE抗体の働きを阻害する抗体」を用いるという意味です。
特定の物質だけを認識して結合する抗体をモノクローナル抗体といいますが、オマリズマブはIgEだけを認識して無効化するため、抗IgEモノクローナル抗体と表現されます。この薬は、アレルギー反応を引き起こす体内のIgE抗体の働きを抑える作用があり、アトピー型喘息で、かつ吸入ステロイドなどを使用しても状態が悪い重症患者が適応となります(大変高価な薬であり、投与に際しては厳格な審査・検討がなされます)。

ゾレアは、約6割の患者に効果があるといわれます。「たった6割」と思われるかも知れませんが、既存治療薬で効果がない方の6割に有効ですから、その有効率は高いと思われます。

これから数年で生物学的製剤が続々と登場する予定です。オマリズマブはIgE抗体に作用しますが、今夏(2016年)に認可される予定の新薬は「IL-5」(IL:インターロイキン)というサイトカイン(炎症を起こすタンパク)に作用するヒト化抗IL-5抗体メポリズマブで気道に好酸球増多を伴うステロイド依存性の喘息への治療に期待されています。
一方、2型ヘルパーT細胞(Th2)の免疫反応に必要な「IL-4」と「IL-13」の受容体となるIL-4RαやIL-13を標的とするヒト化抗体,IL-5受容体に対するヒト化抗体という別のサイトカインに作用する薬の研究も進んでいるようです。
(余談ですが、この流れはアトピー治療でも期待され、近い将来デュピルマブという、2型ヘルパーT細胞(Th2)の免疫反応に必要なインターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-13(IL-13)の2つのサイトカインを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体製剤が、フランスの製薬会社サノフィとアメリカのバイオ医薬品企業リジェネロン・ファーマシューティカルズにより共同開発・発売されると思われます。)

いずれも「長期管理薬をきちんと使っていても喘息の発作をうまくコントロールできない重症患者」が対象ですが、一般薬にはなりませんが、今後はこのような「個別化治療」が主流となっていくでしょう。

「喘息は、関与している炎症物質(サイトカインなど)が違うため、発症のメカニズムは人それぞれです。それらを抑制する生物学的製剤(各抗体製剤)が登場することで、個々の患者さんに最適の薬を選んで治療を行える時代が来ると思われます。

でも、その治療の要は、やはり「長期管理薬を適切に使用」することです。
決して、サルタノールやメプチンなど短時間作用型のβ₂刺激薬のみに頼ってはいけません。
一方、当院で実施している「減感作療法」(減感作療法にリンクお願いします)は、喘息の主因となるダニエキスなどの抗原を少しずつ注射していくことで、体内にIgG抗体を作ります。このIgG抗体は、抗原が体内に入ってきた時に、抗原より先に特異的IgE抗体に結合します。すなわち減感作療法により生み出されるIgG抗体は、抗原とIgEモノクローナル抗体との結合を妨げる事により、喘息を抑制・軽減します。
生物学的製剤の価格が下がり、一般化するにはかなりの年月を要すると思われ、当面は減感作療法が免疫療法の首座にとどまるものと考えています。

多くの病気が過去のものとなったように、優れた治療薬、治療方法が開発され喘息も過去の病気となることを願ってやみません。

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